『狂乱家族日記 弐さつめ』日日日

狂乱家族日記弐さつめ (ファミ通文庫)
はいはいねこみみねこみみ。
いつもの日日日さんという感じですけど、前作よりも面白く読めたような気はします。理由はよく分かりません。
やっぱり、凶華さんの造型が色々アレですね。彼女が家族を思う気持ちは本物なんだと思いますけど、コメディ作品のキャラクターとしての横暴な振る舞いとのバランスが取れてない気がします。いくら物語の要請とは言っても、さすがに家族の命まで危険に晒してしまうのはどうなんでしょう。もちろん、それがギャグとして違和感を感じさせないように描かれているのなら何も問題はないんですけど、本書の場合はどうしても引っ掛かりを感じてしまいます。
P239最後の雹霞さんとお猿さんのアレにしても、具体的な描写が必要だったかどうかは疑問です。あえてこういったコメディのお約束を破ることで読み手に衝撃を与えるという意図があったのは分かりますけど、そこを上手く描写し切れていないような。驚いたというよりもそれまでの雰囲気から不自然に浮いてしまっていて、単に悪ノリして書いたようにも見えてしまうのです。
私は基本的に本に対して加点法な評価しかできない人なんですけど、どうも日日日さんの作品だけは減点法になってしまいます。これは彼の良いもの食べて育ってきました感が気に食わないから、ではなくて、単に彼が減点法で評価されやすい星の元に生まれたからなのでしょう。苦労性。大変ですね。まあ、若さのあり余ってるこの人のことですから、多少のことではへこたれないと思います。むしろ、数年後彼が若気の至りという言葉の意味を理解したとき、昔の自分の著作についてどう反応するかを見てみたいです。魔王14歳は若手作家日日日を腹に一物抱えながら応援しています。