『魔法少女リリカルなのは』

魔法少女リリカルなのは (メガミ文庫)
バルディッシュ! バルディッシュ
杖が喋る杖萌えアニメ魔法少女リリカルなのは』のノベライズ。ていうかこの表紙絵は最低ですね。ぱんつ丸見え。わざとですか? 嫌がらせですか? また淫獣ですか? この構図を考えた人は猛省した方がいいと思います。オビをかけるとまったく問題ないあたり、計算し尽くされた陰謀としか思えません。
第一期終盤の展開を多少改編して二人の勝負の決着を事件終結後に回し、後日談的に両者の心理と最後の決戦を描いていく構成。さらにラスボスであるフェイトちゃんのお母さんサイドの人々にも焦点が当てられていて、プレシアお母さんとそ使い魔リニスさんの過去にそれぞれ一章が割かれています。プレシアさんが絶望と狂気でラスボスになっていく*1きっかけの事件はそのまま企業倫理のお話として読めて、現実味がありました。
ラストバトルは戦法的になかなかSFしていて楽しめました。しかも杖が喋りまくるので、その度にテンション上がりまくり。いつの間にか熱血友情バトルアニメという肩書きがついてしまったこの作品ですけど、二人とも相手の裏をかきあって、騙される度にズルいズルいと抗議してる様子が微笑ましかったです。基本は正々堂々としているけどルールと道理の範囲でならわりとズルい手を臆面もなく使っちゃうあたり、なのはちゃんと『HUNTER×HUNTER』のゴンくんに共通点を感じてしまいます。「魔法ダメージは基本的に相手の魔力を削るだけだから、命の危険は見た目ほどではない」という細かい設定も明かされていて、かゆい所に手が届いた感じです。
本来のなのはちゃんは物事をぐるぐる考えすぎる子で、それがために行動を起こさずじまいになってしまいがちである、という心理描写が本書ではなされています。アニメの方だけを見ていると「一度決めたら強引に押し通す意志の強いしっかり者」にしか見えないので、この説明の下りはたいへんに新鮮でした。最後に二人がリボンを交換するシーンが描かれていなかったので、それだけちょっと残念でした。

*1:ファッションセンスまでラスボス風にどんどん過激になっていった理由は説明つきませんけどー。