『四季 冬』
完結。ぐぇーえええ。あーう、森さん読んでてよかったと思いました。
遂に一大サーガとなってしまったこの作品ですけれど、真賀田四季という天才を描ききったのは本当にすごい事だと思います。なにせ作者である森さん自身、有能で万能な才人であるとはいえ、決して絶対的な意味での天才ではないからです。
天才でない人間が天才を描くというのは、おそらくとても困難なことであるはずです。S&Mシリーズに探偵役として登場する犀川先生の頭脳でさえ、森さん本人のそれよりも高く設定されているかもしれません。けれど四季さんは、その犀川先生を遥かに凌ぐ知性を持っているのです。チャオズと悪ブウくらいの差です。
それなのに森さんは、真賀田四季という人格を正面から描ききってしまいました。これはすごく勇気のいることだったと思います。メラ一発でカイザーフェニックスを出してしまうような相手に、「じょきょうじゅ:Lv30」くらいの森さんが挑んだのですから。普通死にます。
結果として、真賀田四季さんが本当の意味での「天才」として描かれたとは思えません。森さんが天才じゃないんですから、それは無理です。でも、森さんがイメージする「天才」像に、四季さんは限りなく漸近していたのではないでしょうか。ここまで精度の高い「天才」を描いた作品は、過去にもほとんど存在しないのだと思います。