『かつひこの大冒険』

これだけは紹介しないわけにはいきませんのだ。ミッションちゃん並みのセンスを感じる作品ですけど、ミッションちゃんほど話題になってないようなので皆リンク先に飛ぶといいのです。

マウスひとつですぐに遊べるブラウザゲーム。特筆すべきは、FLASHとかCGIみたいなものを一切使わず、ハイパーリンクとGIF動画の組み合わせだけで十分遊べるアドベンチャーゲームに仕上がっている点。この作品自体は基本的に一本道の読みものなので、あまりゲーム性を云々するようなものでもないんですけれど、このシステムを応用すれば『赤い部屋』みたいな脱出ゲームも制作可能だと思います。

そしてそれ以上に際立っているのは、作品全体を貫いている名状しがたい雰囲気。なんていうか、もうものすッごく気持ち悪いのです。分類としては伝奇ホラーということになるかもしれませんけど、その枠にまったく収まっていません。

奇形じみた容姿で描かれる「天使」や、なんかすごくゾンビっぽい「人魚」など。その世界観は最早「和風」ですらなく、もっと土着的で呪術的、原色的な禍々しさが感じられます。映画の『SIREN』や小林泰三さんの小説『密室・殺人』に登場する作中伝承、あとはすごく私的なイメージとして沖縄土着の怪談話なんかがかろうじて近いようには思えるんですけれど、十分な形容とは言えません。とりあえず、やって。やって!