『EDEN It's an Endless World(15)』

EDEN(15) (アフタヌーンKC)

 伏線は着々と消化されつつあるものの、同じくらいのペースで新たな伏線も追加されたり。ここ数巻、ラストまでの距離感は伸びもせず縮みもせずという状態が維持されています。それでも、連載初期からずっと引っ張られていた主人公の妹の誘拐問題が落着したのは大きな進展ですね。

 集合体意識であるコロイドの外と中、二つの世界で大きくお話が動いています。コロイドの外は個と全が絶え間ない闘争を繰り広げる世界で、コロイドの中は個が消えて全てが一となる世界です。「外」でこれから主眼となるのは、主人公たちをはじめとした個人が世界という全体の中でどう戦っていくかという点になるでしょう。

 逆に「中」の方では、コロイドという世界の本質、そしてその世界との折り合いの付け方が主眼となります。単なる精神世界的なものとしてコロイドを描くこともできますけれど、せっかくここまでSFを描こうとして頑張ってきたことですから、最後にはそちらの方面からのアプローチも期待したいところです。