『水滸伝(五) 玄武の章』
衝撃の、と形容したくなる第五巻。お話は遂に「ある一線」を越え、これまでと全く異なるステージに突入しました。「どんな危機でも梁山泊の英雄だから最後は何となかるだろう」という安心感が保障されるのはここまで。これ以降はもう、都合のいい物語補正はかかりません。
そもそも宋王朝という歴史上の大国を相手にしている以上、作者が歴史を改変しない限り梁山泊が最終的に敗北することは決定された結末です。梁山泊陣営のあまりの快進撃っぷりに今まで忘れていましたけれど、この作品は本質的に「負け戦」を描いたものなのですね。そう思うと、彼らの戦いがますます眩しく見えてきます。
この巻の時点での梁山泊の好漢リストは61人。「一線を越えた」と言いつつも、これがクライマックスでなくようやく本番に入ったところだというのが何よりの驚きです。あと残念花和尚。