『神さまのいない日曜日 III』

神さまのいない日曜日III (富士見ファンタジア文庫)

 4巻出ちゃったので、書き置きしてた3巻の感想を慌ててアップするなど。

 これまたヘンテコなお話でしたね。主人公のアイちんが「世界を救うよ!」と張り切っていた前巻とは打って変わって、いきなり「学校に通う」ことになった本巻。『ランドリオール』みたく学園ものとして新章開始なの? 長期シリーズ化の目算なの? じゃあ今回はキャラ紹介の箸休め回かーなどと油断していたら、なんかいつの間にかストーリーラインがどんどんねじ曲がっていって、最初の「学園編スタート!」の雰囲気なんか及びもつかないところに着地しちゃったので驚きました。読んでる間はわけ分かんなかったのですが、終わってみれば本シリーズに通底するテーマにしっかり帰結していたので、不思議と納得してしまいました。やー、ヘンテコなお話です。

 んー、それにしても今回のアイちんは文句なしに腹黒幼女でしたね! というのも、今回アイちんがターニャさんために取った行動、「あえて緊迫した選択肢を突きつけることで決断を迫る」類の行動*1って、計算し尽された一種の脅迫だと思うからです。2巻ではウッラちんがアイちんの「決断」から来る暴走を抑えてくれた感があったんですけれど、今回は彼女を抑えられる人がいなかった*2ので、余計に危なっかしかったなと。まあ今回のターニャさんの件は個人と個人の問題でしたし、状況全体のシビアさも2巻ほどではなかったので、多少危ない動きをしても十分余裕はあったんだろうと思いますが。(アイちん何となくそこまで計算できてたんじゃない? と幼女を買い被る私)

 主人公がこういう行動を取ってもわりあい何とかなるのが物語のお約束ですけど、「自分の行動で他人が傷つく」式の問題の立て方は本シリーズのテーマにかするところでもあります。今後、この問題がもっとシビアに持ち上がったり、取り返しのつかない失敗をしてアイちんが挫折するような展開になれば私得なのですが、そうやって物語の成熟のために幼女をいじめるのって大人酷いと思います。はい。