恩田陸

「論理性」が理解を拒絶するために発揮される物語 - 恩田陸『ユージニア』

横溝正史的な孤村の因習から滲み出るような"澱み"を、近代的な住宅街という舞台に再構築して表現したような。町の名家で起きた大量毒殺事件という不可解の背後に蠢くなにものかの、薄気味悪さがすごいのです。「オカルト」とか「サイコ」とか、そのようなカ…

『球形の季節』

デビュー作『六番目の小夜子』に続いて、これまた何とも奇妙な作品。お話の舞台は谷津という東北の田舎町。ある日突然町中に広まった都市伝説まがいの噂話と、田舎町で日常を送る少年少女の日々を描いた群像劇です。不気味な噂や土地の秘密などの怪談的オカ…

『七つの黒い夢』

変な組み合わせのアンソロジー短編集。 白乙一さんと恩田陸さんは、オチもなくフッと終わるお話。ピンと来なければそのまま流れていってしまいそうではあります。北村さんは初読、淡々とした語りですけど、その中に不思議な面白さのある人ですね。誉田さんに…

『六番目の小夜子』

初恩田陸さん。ああー、なるほど、このストーリーテリングは独特ですね。常にいくつかの謎を提示して読者の興味を引きつつも、ラストまで引っ張れそうな大きな謎を早い段階でポンと明かしてしまったり。最後の最後で大きな謎が一気に解決されるのもミステリ…