『抗いし者たちの系譜 逆襲の魔王』
なんか同業者が出てるらしいですし、あらすじにも惹かれたので読んでみました。いかつい方の魔王さんがどうしても『ベルセルク』のガッツさんに見えて仕方ありません。「三浦」だし。
総じて「新人としてはとても出来がよい」という評価を受けている本作ですけど、私はこの読み方が一番しっくり来てしまいました。もちろん書いてる本人は真剣そのものだと思うんですけど、「もう一押しあれば」というところがどうも目に付いてしまいます。文体にも地に足が着いていない印象があって、どうしても間の抜けている感覚が拭えませんでした。
あらすじからとても奇抜なお話を期待してしまったんですけれど、本編の展開事態は非常にオーソドックス。それよりも、魔王=勇者というRPGのお約束を逆手に取ったアイデアをはじめとして、基本設定の部分に奇抜さを感じました。個々のファンタジー的仕掛けもなかなか面白かったんですけれど、事前の伏線が一切なく登場したとき初めて解説されるものばかりなので、ちょっと唐突さは否めません。伏線の張り甲斐のあるネタがとても多かったように思えたので、この点がいちばん残念。この作者さん、もしかしたらミステリーをほとんど読まない人なのかもしれません。
とりあえずラストバトルが描かれる4章の後半がすごく燃えたので、読んだ元は取れました。逆臣グンネルさんに対する最終的な扱いがとても好きです。あと富士見の解説は相変わらず酷いですね。