今年の冬休みあたり皆やればいいと思うフリーソフトRPG『魔王物語物語』

 今年のフリーゲームRPGの最注目作ではないかと思われる『魔王物語物語』。公開から数ヶ月経ってるので出遅れ気味になってしまいましたけど、これを紹介しないわけにはいきません。ずらずら感想書いてたらやたら長くなってしまったので、三回くらいに分けて載せていくことにしますね。

 本作は「第8回 3分ゲーコンテスト」で優勝したパズルゲーム『愛と勇気とかしわもち』の作者さんの最新作になります。『愛と勇気とかしわもち』は昨年のフリーゲーム界で結構な話題になりましたけど、本作『魔王物語物語』は更にひとつ突き抜けた感がありました。

 なんだか見たことのないゲームです。決して派手な奇抜さがあるわけじゃないんですけど、「あの作品に似ているよ」という類の紹介の仕方が、ぱっと思いつかない感じ。ゲームを始めて数分で、「何か違うぞ」というのがビビッと来ました。

 個々のシステムがそれぞれ王道の中心から少しだけ外れていて、だから全体として見ても「僅かに位相のずれた」作品が出来上がっているのだと思います。決して王道から遠くかけ離れているわけではなく、ごく近くにあって目にも見えるんだけど、手を伸ばすとすり抜けてしまう的な。(はいものすごくいい加減な比喩いいました)

 中心から外れているといっても、その「外れ方」は全体としてちゃんと調和が取れています。無闇に奇を衒って、アイデアがばらばらな方向に乱れるということがありません。だから、個性的でありながらも、最終的には「奇抜」というより「よくできている」*1という印象になるのだと思います。

*1:様々なアイデアがごった煮に放り込まれているアンディー・メンテ作品なんかは、まさにこの逆の方向性かも知れません。