『僕らはどこにも開かない』

僕らはどこにも開かない (電撃文庫)
こ、これなんて概念バトル小説ミヤコ・アーカイブ風? いえ、序盤は本当に『ミヤコ・アーカイブ』を連想しまくりました。特に最初の四ページ。いきなり「魔法耐性」とか言い出すんですけど、これがファンタジーRPGの文脈ではまったくなくて、まさに暗示の世界。御影さんのちょっと特殊能力っぽい概念設定が好きな人は今すぐ『ミヤコ・アーカイブ』を読めばいいと思います。ただしこちらは『ミヤコ・アーカイブ』と異なり形而上能力バトルの方向には行かず、最後まで対話(というには乱暴すぎますが)という形で思想闘争が行われます。奇人変人同士の対決という点では、乙一さんの『GOTH』のテーマである「妖怪大激突」に通じるかもしれません。
ラストに明かされた真相というかオチ*1というか、あれには普通にびっくり。伏線どころか答そのものが早い段階で書かれていたのに、お約束的に深く考えることをやめて見過ごしていました。かなりメタな手ですけどいまだ同じネタを見たこともなくて、わりと斬新だったのではないかと思います。

*1:もちろん殺人事件のトリックとかではなく。