『新世紀エヴァンゲリオン(10)』

新世紀エヴァンゲリオン (10) (カドカワコミックスAエース)
黒焦げバラバラの第十巻。ぜんぜん進まないなーと思いながら首を長くして待ってましたけど、いつの間にか遂に終盤まで来てしまいました。
渚カヲルさんの登場タイミングを変えてしまうという今までにない大きな改編には、原作と同じ投げっぱなしでは終わらせないという貞本さんの強い意志が現れていると思います。この調子なら、アニメ構想段階の幻の第弐拾五話・第弐拾六話である『アルカ、約束の地』と『たったひとつの、冴えたやり方』が十年越しで私達の前に現れるということもありえるでしょう。

あるいは完全に貞本さん独自の版の筆によって、「実は歪んだ優等生」ではなく「本当は素直なひねくれ者」としてのシンジ君が描かれるのかもしれません。既にすっかり過去のものとして語られているこの作品ですけれど、少なくともこの漫画版は今でも新しい展開を生み出し続けていて、そう思うとわりと感慨。十年の月日を感じたり感じなかったりで、とりあえずカヲルさんはけしからんと思いました。