『ひぐらしのなく頃に 外伝 猫殺し編』
漫画版の三編を揃えた人への特典小説。ハードカバーの六十四ページと、発行部数の少なさを考えるとなかなか気合の入った作りでした。ファウスト賞選考の評でJさんが「猫を殺す話が多すぎる」みたいなとか言ってましたけど、まあそれはそれとして。
前半は例の部活モード、白熱したポーカー勝負。音楽と効果音のないのが若干物足りなくはありましたけど、いつもの竜騎士さん節を懐かしく楽しめました。どう転ぶか分からない勝負を欠かせたらこの人はやっぱり流石。後半は、かつて村で起こった『穴』にまつわる奇怪な事件について。この辺になると、音の演出なしでもどんどん読ませてくれるようになります。とっても気味悪。本編の公開分を全てプレイ済みの人なら「これはあのことを言ってるのか」と真相に思い当たりはするんですけど、それが分かっていてもこの生理的な不気味さは拭えません。人が忌みする場所について「そこで実際に何が起きたかよりも、そこに近づくなというメッセージを汲み取ることの方が大切」とする解釈にはとても頷けるものがありました。
さすがにこのページ数で全員を立たせるのはちょっと難しかったのか、前半は圭一さんVS魅音さんVS伏兵としてのレナさん、後半は説明役の魅音さんとまとめ役の梨花ちゃん、という感じで沙都子ちゃんに良い場面が巡って来ませんでした。かわいそかわいそなのでした。