『SYNTHIA THE MISSION(4)』

CYNTHIA THE MISSION 4 (REX COMICS)

 女の子が超理論で血を見る格闘漫画。遂に「ちょ……腸出ちゃう……」なんて萌え台詞も飛び出しました。お話としては、主人公のお姉さんにして最強の暗殺者シベール・ロウさんが本格的に物語に躍り出ます。

 これまでのこのシリーズは、レギュラーキャラが大怪我したり殺されかけたりしつつも最終的には元通り「めでたしめでたし」に落着してきました。ところが本書では、遂に「取り返しの付かないこと」が起こってしまいます。お話が動いた、という感じ。まあ今回は後半がまるまる外伝になっちゃってるので、本当に「動いた」ところですぐ引きに入っちゃってるんですけれどー。

 敵として立ちはだかるお姉さんの思想は難儀なものだと思います。彼女の根本にあるのは、"自分が負ける可能性がゼロならば、負けた者の痛みを知る必要はない"という考え方。これはまた、なんとも反駁の難しい問題です。

 もし彼女に勝つことで「負けたものの痛み」を味合わせることができたとしても、それは彼女から「勝者」の資格を剥奪しただけで、思想そのものを否定したことにはなりません。無敵の範馬勇次郎さんなら何してもいいのかという話になっちゃいます。ここの問題を処理するつもりが高遠さんにあるのかどうか、ちょっと気になるところです。