『水滸伝(二) 替天の章』

水滸伝 2 替天の章 (集英社文庫)

一巻で名前だけはよく挙がっていた武松さんが本格的に登場。また、打倒すべき政府の中枢である青蓮寺についての描写、青面獣楊志や致死軍公孫勝の登場など。世直しを目指す同志たちは、替天行道の旗の下に続々と集まっていきます。

中でも本書で多くの頁が割かれているのは、好漢たちの戦いの要となる自然の要塞・梁山湖を手に入れるための攻防です。やがてここに築かれる「梁山泊」は原典を全然知らない私でさえ名を知っているくらい有名ですし、国際警察機構の本拠地としてジャイアントロボにも登場してたりで、それはもう名前を聞くだけで嫌でもわくわくしてしまうキーワードなのでした。

ところが、梁山湖を攻略するために色々と策の練られるこの一巻二巻では、梁山湖とは呼べども「梁山泊」の名前がなかなか登場しません。これがなかなかじれったくて、実にうまいタイミングでお預けをされてるなあという感じでした。それだけに、初めて梁山泊の名が出たときの感動は一押し。遂に来た、と快哉を叫びたくもなろうというものです。

二巻を読んで残りは十七冊というところですけれど、驚くほど短く感じてしまいます。お話を呑み込まないといけない一巻はまあ頁相応の長さに感じられましたけど、この二巻は本当にあっという間でした。四百ページがぜんぜん苦になりません。こんな小説が二十冊近くも続いてくれるだなんて、本当に幸せなシリーズもあったもです。