『フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人』

フリッカー式 <鏡公彦にうってつけの殺人 > (講談社文庫)

 ぐえええええー。これはひどい。予想の斜め上を行かれてお腹にキました。

 首を吊った妹の復讐のため、犯人の愛娘たちを次々と誘拐していくお話。粗筋からしてろくでもないです。でも、ファウストに掲載されていた「鏡家サーガ」の印象が「歪んで狂って逸脱しながらもどこか清々しく爽やかな兄弟姉妹の物語」みたいな感じだったので、きっとこの作品も最終的にはそういう方向に落ち着くんだろうなあと思っていたのです。

 甘かったです。そのまんまでした。いえむしろ斜め逆のいちばん行ってはいけない方向に逆走しちゃった感じです。[これはひどい]タグを何個付けても足りそうもありません。最悪です。*ねばいいのにと叫びたくもなろうというものです。読了直後は本気で寝込んでやろうかと思いました。(真夜中だったので)

 いわゆる「キレる十代」なチンピラさんと、作中の彼の精神性の違いが正直分かりません。にも関わらず、彼を真っ向から批判するための完璧な理論がなぜか思いつかなかったり、彼の行動が「青春」であるかのような一抹の爽やか的感覚を想起させられそうになったり、ともかく色んな意味で非常に後味の悪い悪い悪すぎる作品に仕上がっています。返す返すも最悪です。

 あー。あとなんかこの作品の時代設定は2007年ということらしく、文庫化の加筆修正に当たって最近のアニメネタとかそういうのが大量に盛り込まれてました。なんかもう重ね重ねものすごくどうしようもないですね、このアルセス野郎