『ひぐらしのなく頃に解 罪滅し編(2)』

ひぐらしのなく頃に解 罪滅し編 2 (ガンガンコミックス)

 『ひぐらしのなく頃に』全体を通じての第五話、「罪滅し編」のコミカライズ第二巻。

 今回は直接的な惨劇が描かれることはあまりなく、子供たちどうしの感情のぶつけ合いのシーンが巻の三割以上を占めています。互いを「仲間」と認めつつもこれまで心の底から語り合うことのできなかった彼らが、この巻で遂に本心の深いところを曝け出すのです。

 コミカライズを担当している鈴羅木さんは繊細さよりも派手さで押す作風だと思うので、こういった「静の緊張感」を描けるかというところが心配ではありました。それだけに「子供たちの」のシーンは軽めに流されてしまうのかなーとも思っていましたけれど、大きな省略もなく意外としっかり描写されていたように思います。

 特に問題のシーンの導入部、「あの現場」を押さえられた彼女の表情が最高でした。これは今までの鈴羅木さんの絵で最高の描写かも。この導入部について原作では状況を匂わせるだけだったんですけれど、そこをあえて描写に踏み切った判断は正解だったと思います。拙いと感じる部分もあるものの、全力で描いたという気迫が伝わる一連のシーンでした。

 後半では、雛見沢古代史の描写にもなかなか凄味がありました。いわゆる「絵巻物」風の絵柄なんですけれど、線の太さとか色使いとかが凝っていてなかなか迫力が出ています。蛆の湧いた絵とかもう。

 あと細かいところで、大石さんの顔の書き方が「鬼隠し編」と比べてかなり変わった感じ。……と思って昔の巻を読み返してみたら、大石さんに限らずみんな絵柄がかなり変化していました。というか、やっぱり格段に上手くなってます。ずっと連続して見てきたので絵の変化に気付けませんでしたけど、ここまで変化してたんだなあと驚きを感じずにはいられませんでした。

 この後の展開は、一冊でやるにはページが足りないけれど二冊にすると多すぎる、という微妙な分量です。尺の都合で中途半端にカットされてしまうようなことはあって欲しくないですけれど、祟殺し編2巻のこともあるし次の頁数を無理矢理多くして乗り切るのかもしれません。