『Doubt(3)』

Doubt 3 (ガンガンコミックス)

 人がさくさく死んでいく、わりとまっとうな展開。

 一人がひとつの扉しか開けられない、というシステムによって、かなりパズル的に考えられる作品になっていると思います。ただ、開けられる扉・開けられない扉が図解的に説明されるようなことがないので、普通に読んでるとその辺のパズル要素を流してしまいがちなのが難。単行本だと忘れていくところも多いですし、記憶力だけで細かい状況まで把握していくのは難易度が高いなと。

 作中「あいつがここにいるはずはない」的な謎の多くはこのパズル要素を基礎としているので、その辺の論理がしっかり頭に入っていないまま該当のシーンを読んでもいまいちピンと来ないというところはありました。三巻になってそろそろ謎が明かされるつつもありますけれど、パズル的な驚きが上手く伝わらず「あの人が犯人だった」的印象しか残らないのはちょっと勿体なくもあり。パズル性自体はわりと作り込まれている作品だと思うので、その辺を描写の弱さで流してしまわず積極的に注目すれば、面白く読める作品なのかなと思います。

 嘘というテーマ周りには、やはりひぐらしに通じるものが感じられます。かつてひぐらしのコミカライズをした人ですから、その辺の影響が見られるのは自然なこと……と言ってしまっていいのかはわかりませんけど、ひぐらしと異なり本作は半ば以上「もう終わってしまった」状況になりつつあります。その辺をどう描くのかな、というのが、ちょっと興味あるところであります。次の最終巻の出来次第で、ぐっと面白くなったりもしそうです。