『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』

 原作の方は未プレイですが、アニメのUfotable版観ました。昨年1月から始めたFGOで私も遂にFateデビューして見事沼にはまったので、それじゃあ過去作品のことも一通り知っておこう(ただ原作を頭っから読んでいく時間を捻出するのはちょっと……)ということで、Zero、DEEN版セイバールートと観ていって、つい先日いわゆるアーチャールート? であるこのUBWを観終わりました。原作とは細かい描写や展開の違いがあると聞いていますし、文章で読まないと分からないきのこ節的な部分もかなりあるかと思うので「これでUBWのことはだいたい分かった」なんてとても言えないのですが、エミヤ、士郎、セイバーをはじめとした第五次聖杯戦争のキャラクターやその文脈を徐々に掴めてきたのは嬉しいことです。

 FGOのわがカルデアにはまだこのアーチャーが来ていないので、与太イベントで時折出てきたときの「小難しいこと言いながら世話焼いてくれそう」「なんか苦労してそう」みたいな印象がだいぶ強かったのですが、さすがにUBWの初期エミヤは相応の気難しさと執着を抱えた人物造形になっていました。当人にとっては一貫性があるけど文脈を知らないと意味の分からない独自の論理で突然襲いかかってくるこのアーチャー、気安く近寄り難いというかぶっちゃけ面倒くさい性格なんですが(そしてそれは士郎もなのですが)、十年来抱いてきたTYPE-MOONへの印象としてはこういうことろが「らしい」のかなという気持ちもあります。

 FGOもたいがいハイコンテクストで、やり始めの頃はそのノリに置いてけぼりにされるようなところもあったのですが、それでもそれなりに広い層向けに作られてはいるので、擦り合わせの余地のないピーキーな価値観を剥き身でぶつけてきて反応次第では即殺意みたいなストレスは、とりあえず味方陣営の人間関係では抑えられています。ただしそれはあくまで「作品の方向性としてソフトな方の表現を選んだ結果」という感じもあったので、このアーチャーみたいな殺伐とした感じにも「なるほど」という納得がありました。

 ラストの爽やかな笑顔はだいぶ吹っ切れた感じがあり、その後与太が積み重なってFGOみたいな扱いになるっぽいので「イイハナシダー」とか思ったのですが、たぶん本気で読み込むと実はいろいろ一筋縄でいかない的な話がまたぼろぼろ出てきそうだしFGOの1.5部も雲行きが怪しいので、やっぱり「苦労人だなー」あたりに印象が落ち着きそうです。あと「贋作」が「本物」に比類する的な話はFGOにも出てきていたので、エミヤ関連では度々言及されるテーマなのかなと思いますが、このへんアリュージョニストでも話の主軸にされてる問題意識なので、アのファンとしてはいっそう見る目に力が籠もってしまいましたね。

 アニメーションとしても綺麗だし戦闘シーンはすごく動くし、原作ではモノローグ中心に進んでいたであろうシーンにもうまく映像をマッチさせてアニメとして自然に見せてくれるなど、見てて飽きませんでした。クライマックスの固有結界の決戦とか、もう映画かって思うくらい凄い映像で(もしくは素人目にはそう見えるようなハッタリかましてた)、予算や工数を温存するかなんかしてこの決戦だけは全力以上の作画を投入できるよう前々から計画されてたのかな、と思うような出来。いいとこに作ってもらえて良かったなあという感想です。あとエピローグの凜の人可愛くてずるいですね。今後もApocryphaとかHeaven's feelとか複数のアニメが控えてるみたいですが、とりあえず全部抑えていくつもりです。