面倒くさいオタクの私がEXILEのドラマにハマるわけがない(即落ち)-『HiGH&LOW THE MOVIE』感想


 というわけでテンションが上がっているので今回は語彙少なめでお送りします。

 先日ようやくBlu-ray版が出たので、劇場以来3ヶ月半ぶりに観返すことができました。1年前の自分に「おまえ来年にはEXILEのドラマにドハマリしてるぞ」って伝えても絶対信じなかったと思うんですが、見事に沼に落ちてしまいましたね……。昨年10月、「なんかTLの与太話勢がやたらハイローハイロー言ってて気になるからとりあえず1回観ておくか……」という曖昧な動機ではありましたしたが、上映最終日ぎりぎりの映画館に無理やり飛び込む判断をして本当に良かったです。

 劇場での鑑賞前は「EXILEの人がいっぱい出てくるケンカ映画」という雑な前知識しかなかったので、「ちょっとこういう強面の人たち苦手かも……」と及び腰な気持ちがあったのですが、TVシリーズを振り返るキャラ紹介・勢力紹介から始まる映画の冒頭から頭をガツンとやられてしまいました。「かつて、ムゲンという伝説のチームがこの一帯を支配していた。その圧倒的な勢力により、かえってその一帯は統率がとれていた」「だが、そんなムゲンの支配に唯一屈することなく、たった2人で互角に渡り合った兄弟がいた」 もうこの時点で既に私の知ってる現代日本を舞台とした作品とは認識できなくなって、変な笑いがこみ上げて来てたんですが、その伝説のチームMUGEMが解散して5つの新勢力が台頭する流れとなり、白ずくめの白い悪魔「ホワイトラスカルズ」、学ランのヤンキー集団「鬼邪高校」、赤いハッピでお祭りモチーフの「達磨一家」など見た目からして面白すぎる組織が次々とスクリーンに登場。さらに外部から忍び寄るヤクザや謎のラッパー集団など合計10の勢力を矢継ぎ早に紹介されて、ここまで来ると私の頭はもう頭が完全に「いろんな部族や種族が出てくるファンタジー作品」を観ているモードに切り替わっていました。

 で、本編が始まるんですが、冒頭の種族紹介があまりにもインパクト強くて分かりやすかったし、ストーリーは単純で、回想フラッシュバックとかもしつこいくらい入れてきてくれるので、TVシリーズの前知識がなくても全然支障を感じず観ていることができました。各種族の独特な価値観が面白くて、これがもう完全にファンタジー観てる感じなのですが、なによりアクションがもの凄い。めっちゃ爆発するし、めっちゃ痛そうな殴り合いしてるし、人が回転しながら宙を跳ぶし、大勢でスタイリッシュに取っ組み合ってる光景が遠景でしっかり映ってくる。CGのなかった時代の特撮映画を観てるような趣もあって、これどうやって撮影したんだろうとか考える余裕が今ならあるんですが、初見時はひたすら「ヒェ〜」みたいな顔で観てました。「数百人の人間が乱闘してる光景は面白いぞ」「人の頭をガラス瓶で殴るのはメチャクチャ楽しいぞ」「荒野をいかついバイクや外車で爆走すると阿呆みたいにテンションあがるぞ」などなど、語彙がなくなるような体験を2時間の間で大量に詰め込まれました。あの有名な「走る外車のボンネットに寝転がって登場する男」とかも観られましたね。最高ですかよ。

 EXILEには劇団が付属してるらしいし、要所要所で有名俳優を起用してたり色々あるとは思うんですが、基本的にEXILE一族はミュージシャン、ダンサー集団と認識しています。でも「素人っぽい演技で興が削がれる」ようなこと全くなくて、これも視聴後に気がついてその自然さに驚きました。人前に出て自分を見せる職業だからこうなるのか、そもそも素でこういうムーブができるのか、なんだかよく分かりませんが凄い。とにかく自然で勢いがある。あとラスボスポジションの琥珀さんがエモくてエモくて、この時点でTVシリーズ未視聴だったので琥珀さんとMUGEN、龍也さんやコブラ・ヤマトとの因縁とかよく分かんなかったのですが、琥珀さんの鬼気迫る迫力(この人もEXILE系の人と知ってびっくりしました)と、良い兄貴分だった頃の爽やかな笑顔に初見でやられたし、はい、語彙がなくなる。

 で、映画を観てあまりにテンションが上がったので、その日のうちにネット動画サービスに入会してTVシリーズをSEASON1、SEASON2と順に観ていきました。1回30分で、回想シーンやバンクシーンが妙に多い*1などちょっと変わった形式のドラマなのですが、その分の予算を全てアクションシーンにつぎ込んだような感があって、しかもどんどん派手になっていく。何十人もの乱闘シーンを長回しでスタイリッシュに撮るとか、なんでこれをドラマでやれるのかちょっと意味が分からないですね(映画版の戦闘はずっとそんなシーンが続いてたので完全に頭が麻痺してました)。

「仲間を絶対見捨てねえ!」とか「ケジメ」とか、登場人物個人個人の価値観は基本的に合わないんですが、これもファンタジー作品のキャラが「一族の掟は絶対」「一人殺された復讐のために百人が命を捨てる」とか言ってるようなものなので、ワハハと言いながら観ていられます。もうちょっと大きな話として、作品の要点らしい「楽しい時間を永遠に続けることはできなくて人は変わっていかなくちゃならねえが大切なものは変わらずに残るんだよ」くらいの話まで来ると、固有の文化を越えて私でも馴染める内容になってきますし、「せなやあ」という感じでエモい。唯一きついのが女性まわりの扱いなんですが、まあこういうのはオタクコンテンツに出てくる美少女キャラの扱いを見た文脈外の人が「キモッ」て反応するのと似たようなものと思えばいいんですかね……*2。あと琥珀さんと龍也さんの関係があまりにもエモくて、「百合だこれ! 分かったこれ百合だ!*3」「尊い!」とか大騒ぎしてました。港に並んでこんな時間がいつまでも続けばいいと心境を語り合っていた二人が顔を見合わせて「MUGEN」って呟いて最強のチームMUGENが誕生するの最高では? あと村山番長と不良キラーが不良になった轟がタイマン張る2期8話は最高。

 サントラも聴いてるんですが、これ最強のキャラソンアルバムですね。だいたい各チームに1つずつテーマ曲があって、しかも天下のEXILEが中心になってるわけですから音楽のクオリティが猛烈に高い。琥珀さんにはどう考えてもラスボスBGMである「Hell On Earth」というテーマ曲があって悪堕ち魔王感が半端ないし、じゃあ九十九さんにもバーサーカーじみたド派手な戦闘BGMがあるのかと身構えてたら「Maria」というエモい曲が流れ出して役者ご本人が「苦しいよ Maria 答えてくれ いつかは 報われるだろうか」とか歌い出すしMariaって歌ってるけどう聞いても考えても琥珀さんのことやんけいい加減にしろ!(頭の血管が切れて死ぬ) 最高のキャラソンです。

 そうやってハイローが完全に極まった状態で今回待ちに待ったBlu-ray版を視聴したわけですが、初見時と違ってキャラの因縁が完璧に分かるし、琥珀さんの背負った悲しみを既に知ってしまったし、九十九さんはチワワみたいにあまりに健気で終始悲鳴を上げていました。琥珀さんそれなりに俳優経験あるとはいえ本職ダンサーなのになんであんな表情できるんです? あまりにもエモくないです? 今夏の新作どうなってしまうんですか? というところで、あと半年以上どうやって新作を待てばいいのか途方に暮れているところです。

 とりあえず、以下の動画はTHE MOVIEの冒頭で流れた各勢力紹介の元になったらしき映像で、多少シンプルになっていますが初見でもおおむね雰囲気を掴むことはできると思います。なんか感じるものがあったらDVDか動画サービスのHuluあたりでTVシリーズを観るか、なんだったらいきなりTHE MOVIEの方に飛び込んでもいいかと思います。映画は現在2つあって、1作目の分かりやすい『THE MOVIE』と比べると2作目の『RED RAIN』は文脈のあるファン向けというか、比較的感傷的で落ち着いた作品なのでご注意を(重火器で武装したヤクザの根城に二人で乗り込んで素手で乱闘したりしますけど)。

*1:これはいきなり続きから観る人や、過去の経緯や伏線などを意識しながらドラマを観るのが苦手な人向けの作りになっていること、大勢の役者のスケジュールを合せるのが困難でバンクに頼らざるを得ないなどの事情があるのかなと思います。

*2:ノボルの彼女が身を引いた流れが美談みたいに語られてたのは流石に「ウッ」てなりましたが……。

*3:この「百合」は雑な用法です(雑な用法しか知らない)。