メチャクチャ面白いのにメチャクチャ大きい溜め息が出る - 『ジャイアントロボ 地球が静止する日』

 先日なぜかTLがジャイアントロボになってたので、よっしゃ観るかという流れになってDVDボックスを引っ張り出してきました。私は3度目の試聴ですが、やー何度見ても面白い面白い。本当にすごく面白いんですが、でも最後まで観たあと「なぜ……」って巨大な溜め息が出る不思議な作品ですよね……(「この作品を全ての"父と子"に捧げる」のテロップ、嫌がらせとしか思えない)。

 横山光輝作品の作品のキャラクターを水滸伝からバビル2世まで世界観ごちゃ混ぜに投入し、しかも善悪、陣営、性格まで節操なく書き換えてド派手にドンパチやらせるという力業のコンセプトがまずツボ。今川監督の作品ってスケールのタガがどこかで外れてる感じがあって好きなんですよね……。しかもアニメーションとしてメチャクチャ面白くて、ロボはもちろん人間どうしの戦闘も異常な見応えがある。十傑集がいまだ語り継がれているのも納得と言えましょう。

 視聴者の気を持たせるお約束展開も満載で、「あれはまさか……!」とか「全てがあの時と同じだ……!」とかめっちゃ言ってくれてテンション上がる。上がるんですが、そうやって引っ張りながらクライマックスまで突き抜けていった感じで、「全ての謎が明らかになる続編を待て!」とぶち上げたまま帰ってこなくなったのはさすがに「わざとやってない!?」と思えてきます(バベルの篭城、一応漫画で出てるけど打ち切りっぽいし、そもそも地球が燃え尽きる日の方の続編だからだいぶ別ものですよね……)。

 物語の背景である「バシュタールの惨劇」や父と子の絆みたいなところも凄くドラマチックに描かれてるんですが、何というかそのドラマチックさが全てという感じで、最終的に出てきた真相や帰結があまりにも……これやっぱわざとやってますよね!? だって「犠牲なくして幸せを得ることはできないのか」みたいなテーマを後半真顔で何度も繰り返してたのに、「犠牲なしで幸せを得ることはできるかもしれないが、今回の事件に関して言えばしょうもない行き違いで無駄な犠牲がメチャクチャいっぱい出た」がオチですよ? 酷すぎません!? 本当にメチャクチャ面白かったので全く後悔はないし、これからも何度でも観たいんですが、それはそれとしてメチャクチャ疲れました……。