25周年(とは関係ない)『幻想水滸伝』初プレイ感想

幻想水滸伝

幻想水滸伝

  • 発売日: 1995/12/15
  • メディア: Video Game

 今日が幻水25周年と聞いたので、書き溜めてた初プレイ感想をアップします。調べて分かったけど、PSのゲームとしてはかなり初期のRPGなんですね(ロマサガ3と1ヶ月しか違わない……)。たしかにSFC時代のRPGの面影を色濃く残していて、でも当時としては画期的だったんだろうなというところも随所に感じられる作品でした。

 実は幻水シリーズって今まで触れたことがありませんでした。でも魔王城の住人(もちむら氏)が大ファンで、私も共通スタッフが多いという『アルカ・ラスト』をけっこう長く楽しんでるので、近ごろ興味が高まっていた状態。そんな折、魔王城で「昔やったゲームがまたやりたい! 具体的にはPS1〜2くらいのゲームが!」の機運が高まり、勢いでPS2と幻水1、2を買ってしまったのでした。でもどうせやるなら初めての人に遊ばせたいよね、ということで、コントローラは私が握ることに。PS1の起動画面懐かしかった……。

水滸伝』をモチーフとして水塞に108人のキャラクターが集まるRPG、と聞き及んではいましたが、まさにその通りの内容でした。『水滸伝』要素自体はそこまで前面に出てないんですが、ともあれ108星がどんどんアジトに集っていくだけで楽しい。アジトが徐々に発展していくのも良いし、「宿屋」「地図」「環境コンフィグ」など、RPGのお約束的要素やUIにそれぞれ担当キャラクターが付き、徐々にシステムが解放されていくのはワクワクしましたね。「マップの入り口で町の名前を教えてくれる人」担当の子が好き。

 お話は王道っちゃ王道なんですが、テンポが良くて印象的なエピソードが多かったです。エルフの村は焼かれるし、吸血鬼が処女を攫ったりするんですが、定番パターンをやるにしてもやることが徹底的なんですね。柱も残らないほど焼き尽くされた高慢ちきなエルフの村の焦げ跡、異様に豪勢なドット絵ステンドグラスの下でパイプオルガンを奏でる吸血鬼のイメージなんかは、今後も似たようなモチーフに遭遇するたびに思い出しそうです。

 イベント専用のドット絵差分もとても豊富で、飲んだくれてる絵、壁を這い上がる絵、変な方向にぶっ倒れてる絵みたいなのが一度きりのシーンのために贅沢に使われてるんですね。ドット絵ながら(だからこそかも)、キャラクターがしっかり演技をして動いてる感がありました。本拠地の固定セリフ以外は仲間になる時くらいしか喋ってくれないキャラも多いんですが、不思議と印象に残るのは、キャラ付けが上手いのと、老若男女入り乱れるビジュアルが一人一人個性的だからでしょうか。商人とか庭師とか、非戦闘員枠の面々もいい味出しています。クレイズとカナンが好き(クレイズとカナンは108星ではない)。

 時々思い出したかのようにポップしてくる水滸伝ネタも楽しんでましたが、あくまで小ネタなのであまり引っ張られすぎない方が楽しめそうな気もしました(ロニー・ベル見て「顧大嫂だ!」と思ったら別に関係ない宿星だった)。いちばん水滸伝っぽかったのは山小屋で同志に薬盛られるくだりと、偽ハンコ偽文章のくだりですかね……。ラスボスの二人は紂王と妲己だし、軍師も釣りがどうとか言ってたので、最後の方はむしろ封神演義みたいでしたが、封神演義も好きなのでこれはこれで好きでした(大元の水滸伝だと最終的に国に恭順しちゃいますしね……)。

 ゲーム部分は意外なほどオーソドックスなターン制RPGでした。レベル制で、武器防具のほか「紋章」というスキルセットを1人1つ付けられるくらいのシンプルな仕組み。パーティ枠は6人とちょっと多めですが、なにせキャラ数の多い作品なので、シナリオ進行にあわせてメンバーをどんどん入れ替えながら戦っていくことになります。レベル差による獲得経験値補正が極端に大きく設定されているので、低レベルで放置してたキャラでも少し戦えばすぐ適正レベルまで育ってくれるのはありがたかったですね。

 いろんなキャラが使えて楽しい反面、キャラ1人1人に「所持品欄」があるタイプのゲームだったので、ちょっとメンバーを変えるたびに倉庫と作戦室とお店を行ったり来たりしながら装備品やアイテムを受け渡しするのはかなり大変でした……。最終的に「後列には滅多に攻撃が飛んでこないし丸裸でもいいか……」とか適当やるようになって、ボスの全体攻撃で全滅したりしてました。紋章も面倒でほとんど付け替えてなくて、回復の要のはずの水系紋章を終盤まで採用してなかったので無駄に苦労してた気がします……(RPG下手くそでは?)。

 3回はクリアしてるというもちむら氏のアドバイスを受けながら進めたので、比較的スムーズに108星を全員揃えることができましたが、自力だと相当手こずったろうなと思います。攻略本様々の時代だったんですね……。いちばん苦労したのはやはりパーン生存のためのお父様との一騎打ちで、一回挑戦するたびに長めのイベントシーンを見ることになるこの感じ、ああ〜懐かしいやつだ〜〜と思いながら何度も返り討ちにあってました。

 暴政を敷く王国を倒すという本筋のストーリーは綺麗に完結していましたが、背景設定や個々のキャラクターにはまだまだ語られていないところがいっぱいある印象でした。水滸伝らしく江湖一帯の限られた地域が舞台で、ワールドマップもあまり遠くまでは行けないんですが、そのことで逆に「外の世界」の広がりが感じられるのもよかったですね。主人公や時代、地域を変えつつも同じ世界を舞台にしたシリーズらしいので、おいおい2も進めていきたいと思っています。来年のうちにできればいいんですが……。