出ますよ、アリュージョニスト作者の新作が

 出ますよ。

 作者の最近さんは『幻想再帰のアリュージョニスト』のWeb連載を7年にわたって続けていますが、商業小説の出版は2015年の『アリス・イン・カレイドスピア』以来。今回はペンネームを新たに「品森晶」*1とたうえ、MF文庫Jからの完全新作となります。あらすじを一見すると昨今の定番トレンドを意識した内容に思えますが、端々に出てくる情報やスピンオフ作品の内容を踏まえるとどう考えても一筋縄でいくはずのない雰囲気が漂っています。発売日は明日。電子版は日替わり後すぐ読めるみたいですし、冒頭試し読みも可能。よい時代ですね。

 あと本作の発売にあわせて、スピンオフ集中連載として書き下ろされた『ハニーウィッチ・ユーフォリア』が無料公開されています。

 短めの販促小説なのかな、と思って読んでいたらどんどん更新されて既にこれだけで一冊出せるくらいの内容になっています。作者は自作に対してあまり「百合」という表現を使わない印象があるんですが、今回は「確固たる意思のもとに百合をやりました」と明言しており、ものすごいことになっています。なお私は新作発売に備えて心身沐浴して落ち着いた前夜を過ごそうと思っていたのですが、先ほど更新された最新話を読んで情緒がメタメタに破壊されて予定が何もかも破綻してしまいました。お道連れよろしくお願いします。

 以上でした。アリュージョニストは「超大作なのが長所でもありつつ難点でもある」と言われがちですが、今回の新作『祈る神の名を知らず、願う心の形も見えず、それでも月は夜空に昇る。』とスピンオフ『ハニーウィッチ・ユーフォリア』は文庫1冊の範囲に収まる分量です*2。『幻想再帰のアリュージョニスト』が気になってたけどまだ未読(もしくは序盤で止まってる)という人は、いよいよチャレンジのし時かもしれませんね。ね!

(追記)

出ました。感想です。

erlkonig.hatenablog.com

*1:シナモリアキラというと端的には『幻想再帰のアリュージョニスト』の主人公の名前なのですが、単純に「自作の主人公の名前を作者名にした」と理解するのはかなり語弊があります。アリュージョニスト本編中で様々な紆余曲折があった結果、「シナモリアキラ」には特定の個人名を超えた複雑で面妖な文脈が乗り、なかば神話的な概念とすら言えるものになっています。どうにも説明のしようがないので詳しくは本編を読んでください。

*2:『ハニーウィッチ・ユーフォリア』の最終話が10万字とかない限りは……