金庸

「強さのインフレ」の制御がトリッキーで面白い、金庸『秘曲 笑傲江湖(四) 天魔 復活す』

またなりゆきで究極の内功法を体得し、遂に長い間悩まされてきた「内力」の問題をクリアした主人公。正確無比な技に加えて強靱な内力も加わり、既に彼の強さは江湖全体で上から何指というところに達していると思うんですけれど、それが彼の状況を好転させて…

『秘曲 笑傲江湖(七)鴛鴦の譜』

遂にの読了。後半三冊は続けて一気に読んじゃいました。その部分だけでも千数百ページあったはずなんですけれど、ぜんぜん長いお話を読んだという印象がないのが凄いです。北方水滸伝読んだ時のような感覚。 主人公がかなり早い段階で最強クラスのキャラにな…

『秘曲 笑傲江湖(六)妖人 東方不敗』

遂に東方不敗が登場。この作品世界で最強クラスの使い手が二人半も束になって、それでもとても敵いはしないという異常な強さ。彼は顔見せが終わるとさっさと作品を退場してしまいましたけれど、この人を越える使い手はもう作中現れないのだろうなあと思わさ…

『秘曲 笑傲江湖(五) 少林寺襲撃』 

もうどんだけ盛り上げれば気が済むのかと……。一章進むごとに、主人公の立ち位置がどんどん変化していくダイナミックな面白さがあります。コードギアスの二期もこんな感じだったのかな−とか想像しつつ。成り行きに任せて、一体どこまで行ってしまうのでしょう…

『秘曲 笑傲江湖(三) 魔境の美姫』

もう、令孤冲さんがかわいそうでかわいそうで……。 本作の主人公の令孤冲さんは、任侠武林の世界の豪快さを体現したような英雄的キャラクターです。性格は豪放磊落で、強きを挫き弱きを助け、何よりも酒を好みます。恥知らずな生を得るくらいなら躊躇なく討ち…

『秘曲 笑傲江湖(二) 幻の旋律』

面白い面白い言いながら読んでます。ほんの一章お話が進むだけで、主人公の置かれる状況や目下の目的、人と人の対立関係までもがどんどん流転していく様が刺激的。ストーリーテリングの操りが実に巧みです。 ある出来事が終わりきらない内に次の事件が発生す…

大陸小説の圧倒的ダイナミズム! - 金庸『秘曲 笑傲江湖(一) 殺戮の序曲』

楽しい! この楽しさ尋常ではありません。中国の武侠小説であり、山田風太郎さんのような伝奇小説にも通じ、さらにはライトノベル活劇の文脈にも通じる。とても間口が広く、そしてどの文脈でも一級のダイナミズムに溢れた作品です。 この作品の任侠世界、そ…