『七王国の玉座III 氷と炎の歌(1)』で悶える悶える

七王国の玉座〈3〉―氷と炎の歌〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

読者を悶え殺す気ですかーと続きが気になってしょうがない傑作群像歴史大河。早く先を読みたい、でも一気に読んじゃうのは勿体ない、ていうか急いで読んでもどうせ出版のスピードがおっつかないので遅かれ早かれ待ちぼうけ食わされる羽目になるわけで鬼。マーティンさん鬼超鬼。

今はまだ伏線を張り巡らせている段階でお話の本番はもっとずっと先みたいなんですけれど、にも関わらずこの面白さはどうですか。何かもう思わず変なこととか口走っちゃいそうです。これだけ興奮させておいてまだプロローグの真っ最中だなんて、本当の意味で物語が動き出したら一体どんなことになってしまうのでしょう。きっと頭が膨らんで爆発とかするに違いありません。

一人一人のキャラクターがいちいち魅力的過ぎて困るんですけれど、中でも目をひくのは常にトリックスター的な動きをする小男のティリオンさん。小狡くて知略に長けた道化かと思わせて、その実、登場人物の中でいちばん俯瞰的な視点から冷静にものごとを見れる人でもあります。

この手の高い視点を持ったキャラクターは事件から遠く離れた位置から物語を見守るのが常ですけれど、この作品の場合、彼自身が事件の渦中に巻き込まれてしまいます。しかも、それまでは達観した考えを述べてきたティリオンさんなのに、こういう肝心なときに限って判断力を鈍らせてしまう様子。いまいち本心の部分が見えてこないということもあって、これからどう動くか予想がつきません。色々と興味の尽きないキャラクターです。