『七王国の玉座IV 氷と炎の歌(1)』

七王国の玉座〈4〉―氷と炎の歌〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

 権謀術数渦巻く群像歴史大河のエピローグ部、その急展開とでも言うべき第四巻。

 単純に「面白い」作品に読者が望むことは、その作品が面白くあり続けることだけです。でも、登場人物に強い感情移入をしている場合、読者は「登場人物の幸せ」をも同時に願います。「取り返しのつかない事態」はお話に起伏を与えて面白くしますけど、読者は同時に胸の締め付けられるような悲しみや悔しさを感じることにもなります。

 この作品の主人公格であるスターク家の面々に何か悪いことが起きる度、心底「やめて」と作者にお願いしたくなります。困難な道の方が面白くなると分かっていてもなお「何事もなく幸せに暮らしてくれた方がいい」と願ってしまう魅力が、彼らには存在するのです。この作品を読んでいると、物語の作者はいつも残酷なのだと思い知らされます。

 登場人物はますます増え、前巻を読んでから時間が空いてしまった*1こともあって、そろそろエピソードを忘れがちになってきました。並みの作品なら騙し騙し先を読むところかもしれませんけれど、この作品についてはもう再読しないわけにはいかないでしょう。ひぐらしを除くとまともな再読なんて何年もやってないですけれど、よい作品をよりよく楽しむためにここはひとつ頑張ってみます。

*1:だって読むのが勿体ないんですもん。