『GUNSLINGER GIRL(5)』

GUNSLINGER GIRL 5 (電撃コミックス)

 いわゆる「ピノッキオ」編? の終わり。もともと善も悪もないようなお話でしたけど、この巻でテロリスト側の事情が本格的に描かれて、両者が完全に相対化されてしまった感じです。

 戦いを描いたお話であれば、その戦いを最後まで描き切ることでお話を終わらせることができます。けれど本作は、そおういう終わり方ができそうにありません。この段階で想像できる結末は、今まで義体や公社の人間がテロリストを殺してきたのと同じようにして彼らも戦いの中で死んでいくとか、「その後もずっとこんなことが続きました」的にいいところで切ってしまうとか、あとは上手いこと逃げ出して静かに余生を送るとかくらいがせいぜいです。

 この作品は、きっとこれからも人の死に様を描いていくのでしょう。「世界とはこう在るものなのだ」という前提のもと、もはや一個人ではどうにもならない状況を個人の視点で描いているのがこの作品なのだと思います。(とこの時点では思ってたんですけど、先を読んでいくとどうもこの先方針の転換があるようで。私の推測のなんと当てにならないこと)

 ラスト、トリエラさんの表情がまた興味深かったです。冷静に見えても、いざと言うときは彼女も他の女の子のように必死な振る舞いを見せるのですね。その表情は義体ゆえのものにも見えるし、普通の女の子が誰かを慕うのと同じものにも見えるし、なんとも解釈が難しいのですけれど。