『GUNSLINGER GIRL(7)』
徐々にペトラさんと一期生たちの関係が描かれるように。しばらく彼女中心のお話が続いたので、ひさしぶりに他の義体が登場すると絵柄が変化していることがよく分かりますね。
ペトラさんを見てると、条件付けがPTSDのフラッシュバックとか風邪ひいて頭いたいのとかと同じ「症状」のひとつのようなものとして見えてきます。無理するとげろげろ吐くよ的な。今まで条件付けは絶対に抗えない一種魔術的なイメージだったので、こういった新しい描写はちょっと興味深いです。
アレッサンドロさんやグエルフィ検事の登場で、公社の活動もようやくいくらかまともなものとして見られるようになってきたと思います。これまでに描かれてきた公社の人間の大義は、「ジョゼさんジャンさん兄弟が復讐の念に捕らわれている」みたいな相対化可能で個人的なものが目立っていました*1。そこにアレッサンドロさんが持ち出した「善い大人を守るために悪い大人ががんばる」という論法は、少なくともそれまでの話よりはもう少し前向きですし、現実的でもあると思います。
どうにも個人的で閉じた視点で描かれがちだった本作ですけど、ここではじめて作品世界に新しい視点が導入されたように見えるのは興味深いです。もうずっと内輪内輪したお話に収束するかと思ってたんですけれど、こうなってくると話は別。あるいは、EDENみたいに「戦い」の方を描くお話に移る余地もあるのかもしれません。
もちろん、証拠隠滅のために容赦なく一般人を殺すような公社ですから美談なんかには全然なりませんし、義体たちを道具扱いで使い捨てていくという現状もそのままです。だからと言って今回のお話全部を「ただの皮肉」とか言って切り捨てるわけにもいかないと思いますし、ええと後はえらい人に丸投げします。
*1:もちろんテロ撲滅とかが基本的な仕事としてあるんだと思いますけど、その辺を語る人が全然いなくて、どうにも現前化していなかった印象です。