『神様のメモ帳(2)』

神様のメモ帳〈2〉 (電撃文庫)

  • 出されたものを泣きながらでもちゃんと残さず食べるアリスちゃんはいい子ですね!
  • 四代目のビジュアルが普通に格好よくてびっくり(サングラス&金髪リーゼントのギャグみたいな暴走族風を想像してました)
  • 主人公について、戯言シリーズいーちゃんが誠実になった感じという凄く嫌なたとえを思いつきました

 今回はニートについてどうこう言う場面はほとんどなく、お話の売りだった「ニートが集まって云々〜」的な側面は前に出ていません。一方ヤクザさんやら闇金やら裏社会のお話はますます重要になって、『神様のメモ帳』というかわいいタイトルとは結構な落差のあるアウトロー度高めのお話になっています。

 それがどんなものか具体的な描写はほとんどないにも関わらず、アリスちゃんの抱く絶望にひどく心を打たれます。設定として特殊な個性はないんですけれど、人格の中核となる行動の動機には確固とした強度が感じられて、だから書き割りのキャラクターという印象がありません。

 主人公のヘタレとしての在り方も、やはりありがちなヘタレのステロタイプに収まっていない感があります。決して個性的というわけではないんですけれど、「確かにそこに人がいる」という感覚は強く感じます。

 周囲に有能な人間がそろっていたり、物語補正で一か八かの賭けがうまいこと成功したり、そいういうファンタジーはもちろんあります。でも、彼の無力感がささやかな行動に結びつくまでの心理経緯、そのメカニズムは決してファンタジーではないという気がするのです。