フルカネリ、最後の計画/デカラビア、最後の咆哮

 前半時点ではどうなることかと不安もありましたけど、後半とてもよかったです。いわば地雷原であったデカラビア周りの話だったこともあり、さまざまな事情とかあるよね〜と感じるところは随所にありましたが、それらへの諸々の対処の仕方なども含め、この状況でこれ以上は求められないなというくらい頑張ってくれたイベントでした。メギドのイベントシナリオは今年の秋以降やや練りこみが甘くなったなと感じていて、感染症対策とかの影響が出てるのかなーと心配していたのですが、その不安もひとまず払拭された感じです。来年もこの調子だといいのですが……。

フルカネリ最後の計画

 シナリオを前後編に分けた都合なんでしょうけど、結果的に前半部の内容がかなり薄まってしまったのでは……というのが正直な感想。いきなりクライマックスから始まる掴みの1話、デカラビアと正面から対峙する5話の展開は刺激的だったんですが、途中の2話~4話部分は(最終的に1話冒頭に繋がる展開が分かってしまっているのもあり)間延びしていたように思います。

 とはいえ肝心なデカラビアとのやり取りは良かったですし、デカラビアとフルカネリの信頼関係、まさかの刺青デカラビア一枚絵など見どころも多かったと思います。トンチキ方面では、マキーニの自爆をひたすら庇い続けてくれるタムスのよく分かんない絵面が面白かったですね……(なにあれ)。

デカラビア最後の咆哮

 後編は時間をかけて練り込んだんだろうな……と伝わってくる完成度で、秋以降のイベントシナリオでは出色の内容でした。エンターテイメント的には文句なしです。個別に焦点の当たるキャラクターもよく掘り下げられていて、特にセーレなんか先日の暴奏ジズイベント以上に特徴的に描かれていたように感じました(デカラビアの計画に対するコメントの視点がすごく高くて、ああ転生メギドだと感じられたりとか……)。

 結局デカラビアは「破滅主義者というよりは革命主義者、手段は選ばないけど無辜の民を殺すほどの極悪人ではない*1」という落とし所でしたね。フォルネウスも「大義のための悪行」を重ねてるタイプだったので処理が被らないか心配だったのですが、最終的にはかなり方向性の違う悪人になったのかなと思います。最後のメカラビアで「はっちゃける悪役」という方向に舵を切ったのも差別化としてよかったですね。

 純粋に愉快犯的なテロリストとしてのデカラビア像を求めていた人を満足させる結論ではなさそうだし、軍団内から看過できない悪人が出た時のソロモンの対応を見てみたかったという気持ちもありはするのですが……「こういう方向でオチを付ける」というところは企画レベルで決めざるを得なかったでしょうし、その枠組みの中でできる限りのことをやってもらえたので満足、という気持ちです。

 欲を言えば、ソロモンにもう少しハルマに対して強く出てほしかったなとは思います。デカラビアは器物破損とか傷害とか煽動とか色々やらかしてますが、無辜の死者を出していない以上メギド72が彼を直接処断する道理はちょっと弱くて、彼の最大の罪状はハルマ視点での「国家反逆罪」的なところだと思うんです。なのでソロモンにとってこの問題は「同盟相手のハルマ側にデカラビアを引き渡すかどうか」という外交判断になってきます。今回のシナリオがメギドラル・ハルマニア双方からのヴァイガルドからの独立性を取り上げたものだったことを考えると、最後はソロモンにもその辺を踏まえた結論を出して欲しかった……という気持ちはありますね。まあ明らかにシナリオに色々求めすぎなので、ハルマのエルプシャフトに対する実効支配についてはおいおい触れてもらえればと思います(今後はハルマニアとの対立みたいなエピソードもあるようですし、さすがにやってくれるでしょう)。

 デカラビアは今後もメインシナリオで重要な役が回ってきそうですし(ソロモン不在時の暫定リングホルダーとか?)、カンセリエ商会とか伏線もいろいろ撒かれていましたね。でもいちばん気になるのはやっぱりボルケリオンIIまわりの話で、いったい次は何やらかす気なんですか? ついに機動要塞ヴァイガルドンが幕開けしてしまうんですか? とか、メギドってこういう期待になぜか答えてくれがちなので、今から心配、いえ期待して4周年イベントをお待ちしたいです……。

*1:キャラストでは村人を皆殺しにしたのは誤解、盗賊のヴィータを殺すくらいのことは普通にするというバランスでしたね。