『ヒュレーの海』

ヒュレーの海 (ハヤカワ文庫JA)

 新発見の粒子的なやつでVR技術がめちゃくちゃ発達して現実そのものが物理層と論理層で構成されたネットワークみたいになってる未来、なんかのバグで情報強度が拡散して溢れた混沌の海に呑まれた地球圏は7体の超高度AIを核とする7つの国家によって再統合され、古代に打ち捨てられて堆積した巨大ソースコード遺産みたいになってるVR集合的無意識オーバーテクノロジーリバースエンジニアリングの対象となり、今日もなんか使えそうなデータがギルドによってサルベージされている……的な、以上の説明は作中の設定をだいぶ逸脱してイメージで固めた雑なやつですが、つまりなんかそういうイメージのやつです。

 現実と異なる技術体系を描き出すための根本的な土台として未知の粒子の存在を仮定しつつ、現代の情報技術あたりを中心としたアナロジーで世界設定を細かく構築しているタイプのSF作品、と私には読めました(分かるところだけ分かる状態で読んだからそういう理解になっただけで、ちゃんと読めばもっと色々あったりするのかもしれません)。その辺の分野の人にとっては比較的イメージしやすい世界設定で、ルビも割と素直に振ってあるなという感想だったのですが、前知識がなければ造語が乱舞する情報過多で衒学的な作品というふうに映るでしょう。前知識の有無で作品の性質は変わってきますが、根本的な面白さがどっちが上かはお好みによると思います。

 初出はなろう小説ということで広い意味のライトノベル的な文脈にも添っていて、徳間デュアル文庫あたりから出てそう感を醸してて嬉しさがあります。後半は世界の根源的なやつにアクセスして超常事象を発生させるタイプの能力バトルに比重が移り、SF的にはそこをどう解析して実装の穴をくぐり相手の裏をかいていくかという内容になるのですが、あんまり形而上的な話には行かず勝つか負けるかという単純な筋に落ち着くは良し悪しでしょうか。欲を言うと、最後の方でもう少し派手なSF的カタストロフなり大変革なりあってもよかったと思いますが、そこはないものねだりでしょうね。

碓井ツカサ/円居挽『オーク探偵オーロック(1)』

 もうタイトルと表紙が完全に作品のコンセプトを説明してるんですが、オークがシャーロック・ホームズをやるやつです。オビでも本編中でも元ネタの探偵の名前が伏せ字になってたので「これはホームズと思わせといて何とでもひっくり返せるやつやな!」とか思ってたけど、後書きっぽいもので思いっきりホームズ言及してたのでまあホームズでしょう(後書きっぽいものを信用しないこともできるぞ)。

 19世紀ロンドンの謎にオークの筋肉で挑む、とあってバトルの比率が大きいんですけど、いわゆる脳筋キャラではなく頭の方も名探偵相応にキレるというキャラ付けなので、探偵もののお約束にメタを張ってるという感じは意外と少ないです。あと姫騎士文脈も特にないので「くっ殺」とか言う人はいません(表紙の女の子はワトソンポジションです。可愛い)。

 能力推理ものとしては、オーロックの能力が「自分の推理が正解になるよう現実の方を改竄する」っていうオーク探偵とかの与太設定が吹き飛ぶくらい強力なやつで、しかもそれをかなり安直に使ったりしてたのでびっくりしたんですが、まあ円居先生のやることなので、ここからの話の持って行き方が楽しみですね。推理との辻褄が合うところまで現実を改竄し続けるタイプの能力っぽいので、探偵自身にも影響が制御しきれず、かえって悪い結果を招きかねないとかそういう趣向はあるようです。

 謎の日本武術やチベットに縁のあるホームズが元ネタだからということなのか、かなりの頻度で東洋武術への言及とかあるんですけど、これ半分以上円居先生の趣味だったりしませんかね……? あと最後の方で新宿のアサシンみたいなのが出てきましたね?(新宿のアサシンではないと思う)

『妄想代理人』

  • 最近観た変なアニメ。
  • 今さんの映画は何本が観たことがあったので前々から興味は興味はあったのですが、機会ができたので遂に視聴。
  • ブギーポップ・ファントムとかlainとかのオムニバス連作短編っぽいダウナーなアニメが結構好きなのですが、本作も同じような感覚で楽しめました。
  • OPだけはよく目にする機会があるので知ってましたけど、気持ち悪くて良いですね(でも本編中で平沢進さんっぽい曲が流れるだけで思わず笑ってしまうのは視聴態度としてよくない……)。
  • ガサラキの西田先生並みに目が据わってガンギマリしてる猪狩刑事の妻とレーダーマンが好き。
  • 現代風刺っぽいところがありつつも、ありがちな「現代人の心の闇」みたいな言説を真に受けてる感じでもないのが好ましいですね。
  • 少年犯罪の凶悪化とかの報道は当時既に散々されてましたが(定番過ぎて当時でも時代遅れなくらい?)、データを見ると少年犯罪が増えてるなんて事実は全くないわけで、にも関わらず「増える少年犯罪、現実と虚構の混同、現代人の心の闇……」みたいなイメージを前提にしたきな臭い雰囲気そのものは現に食傷するくらいメディアから発信されていた。いったい現実と虚構を混同しているのは誰なのかっていう話なんですが、存在そのものが集団妄想みたいな少年バットは、なんかそのへん面白い。
  • まあでもこういう方向の感想を掘り下げても雑な社会反映論一直線なので、あんまり言わぬが華でしょう。
  • あとラストで「戦後に戻ったみたいだ……」みたいなセリフを懐古趣味の猪狩刑事に言わせておいて速攻で復興させる趣味の悪さ好きです。

『岳飛伝(一)』

岳飛伝 1 三霊の章 (集英社文庫)

 長かった文庫化待ち……。また数年空いちゃったので詳しく覚えていない登場人物も多いんですが、文章があまりにも肌に合うので立ち止まることもなくすらすら読めてしまいました。「これで死ぬような奴ならそこまでだ」みたいなシーンがバンバン出てくるマッチョな小説、本来なら苦手な部類のはずなんですが、これだけ長く付き合ってきた作品だと嫌でも愛着が湧くし、このシリーズに合うよう自分から寄せていったところもあります。人間に圧をかけて人間性を搾り出すのは楽しいぞ〜(最悪)。

 北宋を舞台としていた原作水滸伝の時代からもずいぶん時は経ち、いまや中華は金と南宋の時代に至りました。梁山泊が倒そうとしていた宋は金によって南に追いやられ、遼や蒙古、奥州藤原氏までもが話に絡んできて、もはや原作の枠からは完全に逸脱しています。『水滸伝』の頃は梁山泊の志の中心であった「戴天行道」の旗も、今では何か人を縛る枷のように語られていて隔世の感。一度は梁山泊に名を連ねながら、そこを離れる者もおり、そもそもタイトルからし梁山泊と敵対する岳飛の名を冠しています。水滸伝とか梁山泊という枠すら解体して、このシリーズを一人一人の物語に返していこうというのが、このタイトルなのかもしれません。

 もう一〇八星のうちの多くが死んでしまいましたが、「死にそびれた」「長く生きすぎた」と思いながら生き延びている人もいます。三十巻以上付き合って思い入れ深くなった彼らが自分の人生にどんな決着をつけるのか、このシリーズが完結するまでのこれから一年ちょっとが楽しみです。

キャラ紹介

 めっちゃ今さらなのですが、実はこの魔王城も最近人が増えてきています。日記と言いつつあんまり私事? について書くことがなかったので言いそびれていたのですが、今年はここの更新頻度も上げていく予定ですし、折に触れて同居人たちに言及する機会も増えるかと思うので、そのへん軽くご紹介しときたいと思います。

魔王(@varelico)

  • 私です。
  • 10年前からバーチャルネット魔王14歳とか名乗っているのですが、名乗り始めた当時ですらバーチャルネットアイドル文化なんてもうだいぶ下火だったので、今や完全に文化遺産扱いだし「魔王14歳です」とか名乗っても「は?」って返ってきたりするので傷つきますね。
  • キュトスの71姉妹の14女という裏の顔があります。こういうことがシラフで言えるのは長生きしてるアカウントの特権ですね(そうでもない)。14歳ですけど。
  • 「昔使っていた痛いハンドルネーム」が黒歴史文脈で語られる光景ってちらほら見かけるんですが、ずっと同じ名前を使い続けている私に隙はなかったし自分の名前に対する感性が完全に摩耗してしまいましたね。

下僕(@timetide)

  • 「からすとうさぎ」とかいう変な名前の私の下界活動用端末です。電波で操っています。
  • 労働、外交、社会などが苦手ですが、魔王城には日本戸籍を持つ人材が他にあんまいないので、労働、外交、社会などをやらせています。かわいそう。
  • 実地イベントやオフ会などでは私の代行として派遣することが多いです。動作性が低くもたついていることが多いかと思いますが、皆さまご寛恕お願いします。
  • これの読書メーターと私の感想の内容がよくかぶってたりするような気がしますが気のせいです。あと朝方の寝ぼけている時間などよく電波が混線するのでtwitterの発言とかが混じってたりすることありますが、こてもきっと気のせいですね。追求するな。

おもち(@mochimochimanju)

  • もちむら萬寿氏、下僕の妻上です。
  • 一昨年くらいに下僕が配を約せし者を連れてくるとか言い出したときは正気を疑いましたが、彼女はなんと日本戸籍を持って実在し、しかも徳と文化の高いおもちでした。
  • ちょっと前まで全然そんな話聞いてなかったのに天がステ振りを間違えたボトルネックの落とし子がごとき下僕になぜこんな都合良すぎるやろ何らかの人外邪法に手を出したのか許せんと問い詰めたところ「幻想再帰のアリュージョニスト読んでたらエンカウントした」と返ってきたので「さよか」と思いました(※アリュージョニストを読むと配ができる、一般性のある事象ではありません)。
  • おもちの加入により魔王城の文化レベルは☆1から☆4くらいまで引き上げられました。特に食事レベルが(コンビニ弁当をご馳走と感じる感性がなくなり味覚を得た)。
  • 私や下僕より文化範囲が広く未知のものを推してくれることがよくあるので、本選びや感想などこの日記にも直接的間接的な影響が表れてるんじゃないかなと思ってます。
  • なお協議の結果、下僕は私とおもちの共有使い魔という扱いになりました。

ザリス @xalicetanir

  • 自称食客の居候で世を呪ってばかりいる魔女です。ネットで検索すると彼女にまつわる神話伝承のたぐいがぽつぽつ見つかりますが、あんまりろくな話がなかったような気がしますね。
  • 活動率は低いですがたまにゆらぎの神話の話とかをさせています。働け。

そのほか

  • 魔王城なので魔王の家臣が大勢いるぞ(棒)。
  • 週一くらいでお迎えしてる詩人がおりよくDVDとか観てます。
  • 幻想再帰のアリュージョニストの話をほぼ毎日しており、最新話の更新があると大騒ぎになります。

 FGOとかハイローもそうなんですが、特にここ一年くらいで手を出した作品にはお餅さんからの推しがきっかけになったものが結構ありました。ここに書いてる感想とか、いつもまるで自分の意見みたいに書いてますが、けっこう周りの人の影響受けてるところもあると思います。まるっきり受け売りなこともあるし、その辺何も触れないのも心苦しいなーと思ってたので、一度しっかり書いてみた次第。なお明日から急に顔アイコン付きの会話形式ブログとかになったりはしないのでご安心ください。

感想:アリスインプロジェクト『真説・まなつの銀河に雪のふるほし』

 ちょっと時間が空いてしまいましたが、先々週くらいに観てきました。観劇はあまり経験ないのですが、以前2回観た『アリスインデッドリースクール』が良かったので、アリスインプロジェクト繋がりで観に行ってみた流れ。冷凍睡眠から甦った主人公を除く現生人類が滅んだ地球で、寿命20年のデザイナーズチャイルド、動物とのハイブリッド、AI、情報生命など、「旧人類」と似た姿をした少し違う人たちが地球外の人類と連絡をとるためのロケットの発射を巡ってあれこれする群像劇です。

 SF的なガジェットが沢山登場するのですが、そこの説明に拘らずにさらっと流していくのが、小説中心の人間としては新鮮でした。いちいち説明してたら時間が足りないのもあるでしょうけど、ロボットの人工知性が当たり前のように「個性」を尊重して奇矯な行動をしたり、滅びかけた肉体を捨てて情報の海で生きていくかどうかの選択を善し悪しでなく当人の「感じ方」の選択として当たり前のように処理したり、説明をしないことによって結果的に「当たり前」として扱われてていく諸々がなんか良いな、と思いました。

 群像劇の中で役者さんの演技を観る、という感覚がまだ上手く掴めていないので、ちょっと話の筋を追うことに注意が向きすぎたかもしれません。もう一度観ればもっと役者さんの演技に注目できると思うのですけど、公演期間が5日間と短く、よほどコアな人でないと何度も観に行くのは難しいので、「演劇の見方」というものをもっと身につけた方がいいのかもしれませんね。

面倒くさいオタクの私がEXILEのドラマにハマるわけがない(即落ち)-『HiGH&LOW THE MOVIE』感想


 というわけでテンションが上がっているので今回は語彙少なめでお送りします。

 先日ようやくBlu-ray版が出たので、劇場以来3ヶ月半ぶりに観返すことができました。1年前の自分に「おまえ来年にはEXILEのドラマにドハマリしてるぞ」って伝えても絶対信じなかったと思うんですが、見事に沼に落ちてしまいましたね……。昨年10月、「なんかTLの与太話勢がやたらハイローハイロー言ってて気になるからとりあえず1回観ておくか……」という曖昧な動機ではありましたしたが、上映最終日ぎりぎりの映画館に無理やり飛び込む判断をして本当に良かったです。

 劇場での鑑賞前は「EXILEの人がいっぱい出てくるケンカ映画」という雑な前知識しかなかったので、「ちょっとこういう強面の人たち苦手かも……」と及び腰な気持ちがあったのですが、TVシリーズを振り返るキャラ紹介・勢力紹介から始まる映画の冒頭から頭をガツンとやられてしまいました。「かつて、ムゲンという伝説のチームがこの一帯を支配していた。その圧倒的な勢力により、かえってその一帯は統率がとれていた」「だが、そんなムゲンの支配に唯一屈することなく、たった2人で互角に渡り合った兄弟がいた」 もうこの時点で既に私の知ってる現代日本を舞台とした作品とは認識できなくなって、変な笑いがこみ上げて来てたんですが、その伝説のチームMUGEMが解散して5つの新勢力が台頭する流れとなり、白ずくめの白い悪魔「ホワイトラスカルズ」、学ランのヤンキー集団「鬼邪高校」、赤いハッピでお祭りモチーフの「達磨一家」など見た目からして面白すぎる組織が次々とスクリーンに登場。さらに外部から忍び寄るヤクザや謎のラッパー集団など合計10の勢力を矢継ぎ早に紹介されて、ここまで来ると私の頭はもう頭が完全に「いろんな部族や種族が出てくるファンタジー作品」を観ているモードに切り替わっていました。

 で、本編が始まるんですが、冒頭の種族紹介があまりにもインパクト強くて分かりやすかったし、ストーリーは単純で、回想フラッシュバックとかもしつこいくらい入れてきてくれるので、TVシリーズの前知識がなくても全然支障を感じず観ていることができました。各種族の独特な価値観が面白くて、これがもう完全にファンタジー観てる感じなのですが、なによりアクションがもの凄い。めっちゃ爆発するし、めっちゃ痛そうな殴り合いしてるし、人が回転しながら宙を跳ぶし、大勢でスタイリッシュに取っ組み合ってる光景が遠景でしっかり映ってくる。CGのなかった時代の特撮映画を観てるような趣もあって、これどうやって撮影したんだろうとか考える余裕が今ならあるんですが、初見時はひたすら「ヒェ〜」みたいな顔で観てました。「数百人の人間が乱闘してる光景は面白いぞ」「人の頭をガラス瓶で殴るのはメチャクチャ楽しいぞ」「荒野をいかついバイクや外車で爆走すると阿呆みたいにテンションあがるぞ」などなど、語彙がなくなるような体験を2時間の間で大量に詰め込まれました。あの有名な「走る外車のボンネットに寝転がって登場する男」とかも観られましたね。最高ですかよ。

 EXILEには劇団が付属してるらしいし、要所要所で有名俳優を起用してたり色々あるとは思うんですが、基本的にEXILE一族はミュージシャン、ダンサー集団と認識しています。でも「素人っぽい演技で興が削がれる」ようなこと全くなくて、これも視聴後に気がついてその自然さに驚きました。人前に出て自分を見せる職業だからこうなるのか、そもそも素でこういうムーブができるのか、なんだかよく分かりませんが凄い。とにかく自然で勢いがある。あとラスボスポジションの琥珀さんがエモくてエモくて、この時点でTVシリーズ未視聴だったので琥珀さんとMUGEN、龍也さんやコブラ・ヤマトとの因縁とかよく分かんなかったのですが、琥珀さんの鬼気迫る迫力(この人もEXILE系の人と知ってびっくりしました)と、良い兄貴分だった頃の爽やかな笑顔に初見でやられたし、はい、語彙がなくなる。

 で、映画を観てあまりにテンションが上がったので、その日のうちにネット動画サービスに入会してTVシリーズをSEASON1、SEASON2と順に観ていきました。1回30分で、回想シーンやバンクシーンが妙に多い*1などちょっと変わった形式のドラマなのですが、その分の予算を全てアクションシーンにつぎ込んだような感があって、しかもどんどん派手になっていく。何十人もの乱闘シーンを長回しでスタイリッシュに撮るとか、なんでこれをドラマでやれるのかちょっと意味が分からないですね(映画版の戦闘はずっとそんなシーンが続いてたので完全に頭が麻痺してました)。

「仲間を絶対見捨てねえ!」とか「ケジメ」とか、登場人物個人個人の価値観は基本的に合わないんですが、これもファンタジー作品のキャラが「一族の掟は絶対」「一人殺された復讐のために百人が命を捨てる」とか言ってるようなものなので、ワハハと言いながら観ていられます。もうちょっと大きな話として、作品の要点らしい「楽しい時間を永遠に続けることはできなくて人は変わっていかなくちゃならねえが大切なものは変わらずに残るんだよ」くらいの話まで来ると、固有の文化を越えて私でも馴染める内容になってきますし、「せなやあ」という感じでエモい。唯一きついのが女性まわりの扱いなんですが、まあこういうのはオタクコンテンツに出てくる美少女キャラの扱いを見た文脈外の人が「キモッ」て反応するのと似たようなものと思えばいいんですかね……*2。あと琥珀さんと龍也さんの関係があまりにもエモくて、「百合だこれ! 分かったこれ百合だ!*3」「尊い!」とか大騒ぎしてました。港に並んでこんな時間がいつまでも続けばいいと心境を語り合っていた二人が顔を見合わせて「MUGEN」って呟いて最強のチームMUGENが誕生するの最高では? あと村山番長と不良キラーが不良になった轟がタイマン張る2期8話は最高。

 サントラも聴いてるんですが、これ最強のキャラソンアルバムですね。だいたい各チームに1つずつテーマ曲があって、しかも天下のEXILEが中心になってるわけですから音楽のクオリティが猛烈に高い。琥珀さんにはどう考えてもラスボスBGMである「Hell On Earth」というテーマ曲があって悪堕ち魔王感が半端ないし、じゃあ九十九さんにもバーサーカーじみたド派手な戦闘BGMがあるのかと身構えてたら「Maria」というエモい曲が流れ出して役者ご本人が「苦しいよ Maria 答えてくれ いつかは 報われるだろうか」とか歌い出すしMariaって歌ってるけどう聞いても考えても琥珀さんのことやんけいい加減にしろ!(頭の血管が切れて死ぬ) 最高のキャラソンです。

 そうやってハイローが完全に極まった状態で今回待ちに待ったBlu-ray版を視聴したわけですが、初見時と違ってキャラの因縁が完璧に分かるし、琥珀さんの背負った悲しみを既に知ってしまったし、九十九さんはチワワみたいにあまりに健気で終始悲鳴を上げていました。琥珀さんそれなりに俳優経験あるとはいえ本職ダンサーなのになんであんな表情できるんです? あまりにもエモくないです? 今夏の新作どうなってしまうんですか? というところで、あと半年以上どうやって新作を待てばいいのか途方に暮れているところです。

 とりあえず、以下の動画はTHE MOVIEの冒頭で流れた各勢力紹介の元になったらしき映像で、多少シンプルになっていますが初見でもおおむね雰囲気を掴むことはできると思います。なんか感じるものがあったらDVDか動画サービスのHuluあたりでTVシリーズを観るか、なんだったらいきなりTHE MOVIEの方に飛び込んでもいいかと思います。映画は現在2つあって、1作目の分かりやすい『THE MOVIE』と比べると2作目の『RED RAIN』は文脈のあるファン向けというか、比較的感傷的で落ち着いた作品なのでご注意を(重火器で武装したヤクザの根城に二人で乗り込んで素手で乱闘したりしますけど)。

*1:これはいきなり続きから観る人や、過去の経緯や伏線などを意識しながらドラマを観るのが苦手な人向けの作りになっていること、大勢の役者のスケジュールを合せるのが困難でバンクに頼らざるを得ないなどの事情があるのかなと思います。

*2:ノボルの彼女が身を引いた流れが美談みたいに語られてたのは流石に「ウッ」てなりましたが……。

*3:この「百合」は雑な用法です(雑な用法しか知らない)。