『11人いる!』

11人いる! (小学館文庫)
すごー。70年代をなめてました。「今ある少女漫画に強い影響を与えた源流的作家」とか、その程度の認識で読んだなら間違いなく面食らいます。源流どころか、現代の視点から見ても「先を行っている」と思えるところがいくつもありました。もちろん絵柄とか技法とか、後続の人には色々と模倣されては来たんでしょうけれど、それにしたってここまでの作品群の全てを汲み取れるわけがなく。SFとしても少女漫画という先入観を粉微塵にしてくれるくらいしっかりしてますし、それはミステリーやサスペンスとしてみても同様。進化はいつも連続的に進行するものとは限らなくて、ときに数段飛ばしの大きな変化が生じてしまうものなんだなあと改めて思いました。
主人公のパートナーのフロルさんは強烈なキャラクターですね。最近ツンデレツンデレといくつものパターンが提示されてますけど、フロルさんのようなタイプのキャラクターには出会ったことがありませんでした。『スペースストリート』の第一話とか、たぶん致死量越えてると思います。あと王さまと四世さんはあまりにも格好良すぎると思いました。