『GUNSLINGER GIRL(9)』

GUNSLINGER GIRL 9 (電撃コミックス)

 前巻前々巻で作品の雰囲気がややポジティブな方向に傾いたのを揺り戻すかのように、「いくら希望があるかのように振る舞っても、義体という業は厳然と存在するのだ」と事実を突きつけてくる第九巻。

 今回、義体の研究結果が社会に貢献しているという実例が示されましたけど、これもまたひっどい話ですね。彼らの幸せは彼女らの不幸の上に成り立っているのですとか、それどこの身代わりマリー。彼女らのおかげで幸せそうに笑っていられる子供たちが実際に目の前にいるだけに、余計にタチが悪いのです。義体の存在を肯定するのが偽善なら、否定するのもまた偽善と言われてしまうでしょう。

もしもしも、ガンスリの終わりになんらかの幸せがあるのなら、
彼女らの誰かに子供が生まれるのが見たかった。


 でも、お米ちゃんの人が言うように、彼女らに担当官以外の救いがあるとしたら、それは彼女らが子供を産むとか、あるいは彼女らの残したデータが誰かを救うみたいな形で現れうるのかなと思います。結局その救いというのも、「外から観察してどう見えるか」ということに終始してしまうのかもしれませんけれど。