物語は終わっても世界は終わらない『ブギーポップ・クエスチョン 沈黙ピラミッド』上遠野浩平

ブギーポップ・クエスチョン 沈黙ピラミッド (電撃文庫)

 忘れた頃に出るブギーポップの新刊を、また出たことも忘れてしまった頃に買ってきて、もちろん買ったこともまたしばらく忘れてしてうわけですから、読むのはこんな時機になってしまうのです*1。面白いのはわかってるからすぐに読むのは勿体ない、という心理が働いてないこともありません。

 内容は、言ってみればいつも通り。いつも通りだけど、いつもよりちょっと心に沁みたかもしれません。なにせテーマが忘れることで、この作品自体ももう大方を忘れてしまってるくらい長いこと続いています。つまりこっちが変わったとか、作品を取り巻く状況が変わったとか。

 シリーズとしての展開はさっぱり先に進みませんが、正直先に進める必要あるのかな、とも思います。最終巻の構想はできてるらしいですけど、あるいは完結した後に何事もなかったかのように次のブギーポップシリーズを出したって別に構わないじゃない、という空気感がこのシリーズにはあると思います。

 元々が時系列ばらばらな作品なわけですし、世界観的にも他シリーズとの関係など徹底して「開かれた」お話です。完結した物語の続きを書くのは見苦しい、というような言われ方はたまにされるものですけれど、それがこのシリーズにどの程度当てはまるかは疑問です。だって、物語が終わったからって世界まで終わらせないといけない道理なんてないのです。

 あと上遠野さんはほんとスプーキーE好きですね! 改めて詳しく描写されると挿絵との矛盾が露骨すぎて笑ってしまうんですけれど、上遠野さんも緒方さんもあくまでこの描写を貫き続ける様子。いいぞもっとやれと思いました。いいぞもっとやれ!

*1:ついでに感想書いてから日記の載せるまでもけっこうなタイムラグが。さ、三ヶ月前?