上遠野浩平

上遠野浩平『ヴァルプルギスの後悔 Fire1.』

『ビートのディシプリン』から繋がる、ブギーポップシリーズのサイドストーリー。ていうか、ブギー本編の方は断片的な出来事をオムニバスに綴るのが基本なので、シリーズ全体として「物語を進める」という雰囲気があまりないのに対し、外伝の方はブギー世界…

『ブギーポップ・ダークリー 化け猫とめまいのスキャット』

メインキャラクター四人、この中に合成人間と世界の敵がいる! という案配で、わりとフーダニット色の強い作品。 これまでにないほど親切なブギーポップ。ヘルプ対応からアフターサービスまで万全です。あれ? 小学生の女の子を助けるシーンで「丸くなったな…

『残酷号事件the cruel tale of ZANKOKU-GO』

1 もうタイトルだけでお腹いっぱいというか、「残酷号」ですよ「残酷号」。頭のどういうとこ使ったらこういう格好良さとどうしようもなさを合わせ持ったネーミングをひねり出せるのかと。凄い。タイトルだけ見ると「船上ミステリー?」と思わないでもないで…

物語は終わっても世界は終わらない『ブギーポップ・クエスチョン 沈黙ピラミッド』上遠野浩平

忘れた頃に出るブギーポップの新刊を、また出たことも忘れてしまった頃に買ってきて、もちろん買ったこともまたしばらく忘れてしてうわけですから、読むのはこんな時機になってしまうのです*1。面白いのはわかってるからすぐに読むのは勿体ない、という心理…

『ブギーポップ・イントレランス オルフェの方舟』

わりとかなり当たり。いつも捉えどころのない上遠野さんの作風ですけど、今回は何かがカッチリはまって分りやすかった気がします主観的に。こういう二人組みを書かせると上遠野さんは上手いですね。あと最後の電話のときの六峰おじいちゃんが格好良すぎまし…

『ファウストvol.6 SIDE-A』

『すずめばちがサヨナラというとき』上遠野浩平 合成人間の哀しみ。前作もそうでしたけど、はじめから抗いようのないシステムに属する人々を書くのがとっても上手いですね。ケーキ→ぬいぐるみとエスカレートする舞惟さんの思考が痛々しすぎます。しかも片目…

『禁涙境事件』

some tragedies of no-tear land. 今回は「事件」の部分が複数形なだけあって、登場人物の回想というかたちで物語の舞台・禁涙境で過去に起こったいくつかの事件がオムニバスっぽく語られていきます。ミステリーとしてどうなのかは分かりませんけど、SF・フ…

『しずるさんと底無し密室たち The Bottomless Closed-Rooms In The Limited World』

基本的には前作である『しずるさんと偏屈な死者たち』と同じテイストが続いており、上遠野さんの作品によく見られる衒学的な雰囲気がかなり色濃く抽出されたお話です。衒学的というのはこの場合ほめ言葉のつもりですが、人によって大きく好き嫌いが別れると…