上遠野浩平『ヴァルプルギスの後悔 Fire1.』

ヴァルプルギスの後悔〈Fire1.〉 (電撃文庫)

ビートのディシプリン』から繋がる、ブギーポップシリーズのサイドストーリー。ていうか、ブギー本編の方は断片的な出来事をオムニバスに綴るのが基本なので、シリーズ全体として「物語を進める」という雰囲気があまりないのに対し、外伝の方はブギー世界の中心的な謎と物語を思いっきり前進させる方向に舵を切っているので、一体どっちがサイドストーリーやねんという感じです。

 タイトルと表紙で分かる通り、完全に凪さんの話です。なんか魔女戦争勃発とか煽ってるし、十年前から温められてきた数々の伏線が遂に意味を持って立ち上がってくるとかでドキワクする反面、今まではぎりぎり生身の普通人として踏ん張ってきた凪さんが遂に遠いところに行っちゃうのかー、っともの寂しさを覚えたりもします。根本的なところであらゆる覚悟を決めてる凪さんはともかく、本人も周りからもただ平穏な幸せを手にすることだけが願われている綺さんまでわけの分からぬ運命とやらに巻き込まれていくのも、なんだか見てて辛いですねえ。

  • 凪さん主人公ということで霧間誠一の引用を章ごとに挿入する演出が復活。なつかしー
  • 下着イラスト見せられても誰得としか思えない凪さんがわりと不憫
  • なにこのラウンダバウトかわいい
  • 綺さんが可哀想だけど、それはそれとして能力の継承っていうモチーフは燃えますよねー(ひどい)