藤崎竜『屍鬼(2)』

屍鬼 2 (ジャンプコミックス)

 にじり寄る不気味ななんとか。ギャグを交えつつも常に一定の暗調が立ちこめていて、いい感じに不気味な作品になっていると思います。怖いと言うより不気味、なんですけど。

 読んでいて思うのは、藤崎さんの描く女性はやっぱりかわいいなあということですね。『封神演義』とかでは男性のキャラクターばかりが極端に多かったんですけど、いざ描くとなればそれは魅力的な女性を描くのが藤崎さんです。本作は一村の群像劇ということで妙齢の女性も数多く登場するので、藤崎さんが描く女性キャラクターをたくさん見られるというたいへん貴重なものになっています。いえもうほんとお腹いっぱいです。

 常に陰を帯びた雰囲気の中でも、終盤で焦点の当たる村迫さん描写が特に秀逸でした。他人を自分の心象風景の一要素としてしか認識していないから、人が自分の期待通りに動かないと凄くいらいらする、という描写が実に生々しかったと思います。