COMIC

屍鬼(5)(6)

なんか趙公明みたいなんがおるー。変なおじいちゃんおばあちゃん描いてる時の藤崎さんのイキイキっぷりも異常だし、まさに絶好調という感じでございます。 なつのん 夏野さんがああいう状況になることで、物語の視座が90度くらい変わりましたね。3巻終わりあ…

『Q.E.D. ―証明終了―(23)』

金田一君やコナン君などととは一線を画し、ガチガチのミステリ小説読みの人たちにまで異様に評判のよい推理漫画。どの巻から読んでも大丈夫、ということで一冊買ってこさせたのですが、適当に選んだ巻でもこの水準というのはなるほど、噂に違わぬハイレベル…

ヤンデレが狂ってるんじゃない、作者が狂ってるんだ - 『唐傘の才媛』緋鍵龍彦

くるってる……。 知る人ぞ知るヤンデレ漫画、というのが読む前の印象でした。緋鍵龍彦さんというちょっと頭のおかしいエロ漫画家さんがいるという話は聞いていたので、一般紙に媒体を代えてさぞやいいヤンデレが見られることでしょう……と期待してはいたんです…

ピンボールの他には何もない世界 - とよ田みのる『FLIP-FLAP』

テーマはピンボール。ほとんどの読者がさっぱり知らないであろうマイナーゲームを主題としつつ、読み終わる頃には「そのゲームがやりたい」という気持ちにまで持って行ってくれる漫画です。それだけでも、本作の表現力は相当なものなのだと思います。 目的な…

『ジャイアントロボ 地球の燃え尽きる日(2)』

あの中条長官が素で「こうなるなら大作少年の命だけでも…奪えれば良かったものを〜〜!」とか言っちゃうジャイアントロボ第二巻。「地球の制止する日」と異なり国際警察陣営も悪い顔の人ばっかりで、元々の敵であるBF団に国際警察を加えて挟み撃ちにされちゃ…

『ジャイアントロボ(1)』

じ、自分が何を読んだのか理解できない……。 そもそも今川版ジャイアントロボ自体、横山光輝さんの数多くの作品をごった煮にした編集的キメラ創作物だったわけです。このコミカライズは、その今川版をさらにかき混ぜて善悪ひっくり返したような内容。もの凄い…

情景は時にテーマに勝る - 高橋しん『きみのカケラ』

5/9 5巻で完結だと勝手に思い込んでたら普通に続いてた……。7巻までは既刊で、完結は9巻の予定とのこと。既にいつ終わってもおかしくないような「おしまい」の雰囲気が漂ってるんですが、意外と長いこと続くんですねえ。 テーマ<情景 やっぱり、たしかな筆圧…

偏在する"私"の視点 - 『この世界の片隅に(下)』

非常に長い長い作品を読んだという印象があったので、一冊あたりがほんの150ページ程度で構成されていることに後から気づいて凄く驚きました。読んでる間の没入感が本当に凄くて、読み始める前と読み終わった後の自分の時間が不連続に感じられたほど。"漫画…

『この世界の片隅に(中)』

かぎりなく尊い日々を描いているというただその一点だけにおいても、本作にはひとつの作品としての価値があるのだと思います。けれどその日々には、もうひとつの不可分な要素が常に影を潜めています。それをどう受けとめればいいのか、中巻を読み終えた今で…

『この世界の片隅に(上)』

なんとのんびりした日常。特に意識したわけでもないのですが、気がついたら一冊で一時間というとてもゆっくりしたペースで読んでいました。 一冊の漫画をこんなに時間をかけて読むのは『DEATH NOTE』以来。なのですが、情報過多で内容を理解するために時間を…

『Doubt(4)』

完結。 ぱっと見の印象と異なり、けっこうパズル的なところが作り込まれた作品だったと思います。閉鎖区画内で、人物ごとに移動可能な範囲が異なり、また犯人だけはそのルールから解放されているはずである、という。隅々まで理解し尽くそうとすればかなり頭…

『月光条例(1)』

なんかもの凄いノリで目の前を駆け抜けていった感じ。これがサンデー漫画というものですか……。このスピードに合わせて読むにはちょっと修行が必要そうですが、乗り切ることができればまだ見ぬ境地まで連れて行ってくれそう。。 童話の登場人物が単に凶暴化し…

『探偵儀式 V』がどんどん酷い

悟りとは トリックを一瞬で見抜く洞察力… やかましいわ! この発言、すごいさらりと出てきたんで、危うく読み流しそうになりましたよ! もうやだこの世界。 二年ぶり。ここまで酷かったっけ……と戦慄を新たにした第五巻。誰が得するのかほんと分からない漫画…

『屍鬼(4)』

松尾静ちゃん登場。フジリューさんがノリノリすぎます。この両手を頭上に広げて「あー! あー!」とか叫びまくる意味の分からないテンションが懐かしすぎるというか何というか。ホラーとギャグの区別が付きません。 一見ものすごく物わかりがよさそうで、ビ…

『ミスミソウ(3)』

えらいもん読んでもうた……。 本作は惨劇を描いていますが、「あの時ああしていれば」という要素がほとんど見あたりません。物語の分岐はあるにしても、どのルートを選択したところで結局はバッドエンドにしか到達しないという、経路的に閉塞した世界。後から…

『ミスミソウ(1)』

一年近く前に買ったけど、恐ろしくてずっと読めなかったご本。遂に読みました。凄すぎました。原色的というか、土着的というか、人と土地と血にに染みついたような禍々しさ。歪んだ線を描く人ですが、それがそのままこの世界の歪みをダイレクトに伝えてきま…

『天球儀 藤崎竜作品集3』各作感想2/2

昨日の続き。 「DRAMATIC IRONY」 けっこう解釈の難しい作品。善悪二元論に疑問を呈する構造になっていつつ、その外側をさらにメタな世界で覆っているという。主人公の名前が「メタファー」だったり、結果的に光と闇の間を取り持つことになるキャラクターの…

『天球儀 藤崎竜作品集3』各作感想1/2

えらい間が空きましたが『天球儀』感想の続き。一品ずつ書きます。書影でないのが残念。 「天球儀」 これだけ初読。藤崎さんがドタバタギャグを描くとこうなるという。最後のオチまでの骨組み構造がまずあって、その隙間を埋めるためにどんどこ個別のギャグ…

『天球儀 藤崎竜作品集3』

半年くらい前に出た出た作品集。二冊あるコミックス版短編集の「第三弾」ではなく、『PSYCHO+』『サクラテツ対話篇』と続いた文庫版作品集の第三弾という位置づけ。表題作の「天球儀」のみ単行本初出で、残り7作は過去に刊行されたコミックス短編集に既に収…

『Doubt(3)』

人がさくさく死んでいく、わりとまっとうな展開。 一人がひとつの扉しか開けられない、というシステムによって、かなりパズル的に考えられる作品になっていると思います。ただ、開けられる扉・開けられない扉が図解的に説明されるようなことがないので、普通…

『殻都市の夢』

女の子がおもむろに酷い目に遭っていく漫画(というばかりでもなく)。事態に直接介入することをあまりしない二人の監視者による淡々としたストーリーテリングが、ばらばらの作品にひとつの統一された視点を与えているという気がします。 私の言葉のストック的…

『HOTEL』

話題のSF漫画! って昨年くらいの話題ですけど。その人のSF観によって良作か傑作かの判断は分かれてしまうかもですけど、まずは外れなしと言っていい作品だと思います。 描かれる世界は基本的に人間視点で、AIの感情表現などもまずはそこに依っています。だ…

『低俗霊DAYDREAM(10)』

終わっちゃってました……。 前巻ラストがYUO編クライマックスへの大きな引きだったので、この一冊まるまる使って最終章を描ききるんだと思い込んでたんですが、別にそんなことはありませんでしたのだ。YUO編は最初の100ページであっさり目にカタがついちゃっ…

『屍鬼(3)』

「これがどういうお話なのか」が明らかになった巻というか。まあ今までも真相を想起させる描写はいくつも出ていましたし、特にミスリードというものもありませんでした。わりとストレートに進んでいるお話と言えましょう。 原作がそういう作品だから、という…

藤崎竜『屍鬼(2)』

にじり寄る不気味ななんとか。ギャグを交えつつも常に一定の暗調が立ちこめていて、いい感じに不気味な作品になっていると思います。怖いと言うより不気味、なんですけど。 読んでいて思うのは、藤崎さんの描く女性はやっぱりかわいいなあということですね。…

藤崎竜『屍鬼(1)』

藤崎竜さんの新作が読めて私はとても幸せです! 小野不由美さん原作ホラーの漫画化。人口1300人の寒村で立て続けに起こる謎の自然死を巡るこわいお話。 『封神演義』など過去の連載作品はいかにもジャンプ的で陽性なものが多かったですけど、実はネガティブ…

EDENが完結してたので - 『EDEN It't an Endless World(18)』

(アフタヌーンKC)" title="EDEN(18) (アフタヌーンKC)" class="asin"> 完結。ええと、約10年の連載ですか。私が読み始めたのは時期的にたしか5巻が出たくらいの頃からでしたけど、それにしても7年かそこらはお付き合いしてきたことになります。なんか一区切…

『Doubt(2)』

前巻は登場人物が状況を分かってなくてただ右往左往してる状態でしたけど、今巻でそれがとうとう仲間同士の疑心暗鬼に発展し始めました。状況は依然謎ばかりで、何らかの問題の解決によるカタルシスはまだ描かれていません。やはり回収の手際が一番気になる…

『Doubt(1)』

『ひぐらしのなく頃に 暇潰し編』をコミカライズした外海さんのオリジナル作品。暇潰し編を書き始めた頃と比べると、絵はかなり上手くなっているように思います。なにより表紙のインパクトは絶大。こういうのを、ジャケ買いしたくなる本というのでしょう。 …

『デイドリームネイション』

kashmirさん初の非四コマ作品(でしたっけ?)。神様が降臨してもだからどうということのない、漫研のだるだるした日常が描かれます。四コマという形式が取っ払われることで散文度がアップし、kashumirさんの脳内をまさにそのまま垂れ流しているかのような不思…